ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

映画『斬、』

f:id:shashosha70:20190314104140j:plain

(写真1 映画館で配布されていたパンフレットから引用)

これも一つの幕末描く

 塚本晋也の監督・脚本・撮影・編集・製作作品。出演は池松壮亮、蒼井優そして塚本晋也自身も。
 江戸末期、250年も続いた太平の世が揺らぎ始めた時代。疲弊する農村、困窮し浪人に身を落とす武士。
 江戸に近い農家で手伝いをしながら暮らす池松演じる若い浪人。農家には蒼井演じる若い娘とその弟。農作業のかたわら、池松は弟に剣の稽古を付けている。蒼井は池松に好意を抱いている。
 その頃、浪士の中には京に上り浪士隊に入り太平の世を守ろうとする動きが増えていた。浪士隊の結成を目論む塚本演じる年配の浪人は、池松の稽古の様子を見てその腕に惚れ、浪士隊に加わり京へ行こうと誘う。
 そんな折、盗賊と化した浪人が集団で村を襲う。村人たちは池松に村を守ってくれと頼む。しかし、池松はどうしても人を斬れなかったのだった。
  幾通りにも読める映画だ。武士でありながら剣を抜けない池松。蒼井が盗賊に襲われた極限の場面で池松はどう行動したのか。蒼井は、「何で武士は人を斬れるのですか」と叫ぶ。京へ上る浪士が多い中、蒼井は「何をしに京へ行くのですか」と池松に問う。いよいよ明日という出立を前に池松の苦悩が伝わってくる。
 蒼井優が良かった。そこに存在すること自体が演技になっている姿は出色だ。
 二人の武士が決闘する場面があった。一人が正眼に構え、一方は八双に構えていた。古来、幾多の時代劇で見られてきた果たし合いの古典的場面で、塚本は時代劇は初めてだったらしいが、この場面が撮りたくて果たし合いを設定したのではないかと思われたほどだった。
 ただ、武士の所作に注目して観ていたが、残念ながら美しいと感心するほどのものではなかった。
 なお、劇中で話す蒼井の言葉は、時代を映したものではなく、現代の話し言葉になっていた。新鮮ではあったが、演出の意図を計りかねた。ほかにも、この映画は主題はわかりいやすいのに、細かいところでわかりにくいことが多くて、タイトルの斬に句読点の  、をわざわざ付けたのはどういう意味だったのか。

アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件(上・下)」

f:id:shashosha70:20190312172437j:plain

稀にみる傑作ミステリ

 これは稀にみるミステリの傑作だ。文庫本で上下2冊。謎解きの面白さが詰まっていて、じっくり読み進むとミステリ好きにとっては至福の時を過ごすことができる。
 イギリスミステリらしく構成がよくよく凝っている。文庫上下2冊というのがミソ。原書は1冊だったらしいが、2冊にしたことで読者をぐっと惹きつける。これは成功だった。上巻を読み終えてどうしたのだろう?と訝しげに思わせつつ下巻に手を伸ばすわずかの間が大事。この仕掛けは秀逸だ。
 女性編集者が新作の原稿を読み始めるところから物語は始まる。
 新作はアラン・コンウェイの『カササギ殺人事件」。名探偵アティカス・ピュントを主人公とする人気シリーズの9作目だ。実に魅力的な作品で、編集者は一気に読み終えたほどであり、本作も大ヒット間違いなしと思われた。
 本書を読み進むには、作中で編集者もしたように、メモ用紙とペンを用意しておいたほうがよい。登場人物が多いし、そうでもないと重要なヒントを読み落とすことになりかねない。
 『カササギ殺人事件』の舞台は1955年のイギリスの田舎町。この舞台設定はホロヴィッツが意識的に行ったことは当然だが、これによってまるでイギリスの古典的ミステリを読んでいるような錯覚に陥らせる。これはもうアガサ・クリスティの世界ではないか、そう思わせるに十分だ。
 ピュントが村人たちに訊いて回った証言は膨大。しかし、誰がどこまで真実を語っているものか。メモを取っておかないと矛盾に気がつかないでしまう。とにかく全ての材料は読者にさらされているわけで読者はホロヴィッツの挑戦を受けているようなものだ。このあたりもクリスティを彷彿とさせる。否、クリスティに挑戦しているのかも知れない。
 とくに、巧みに張り巡らした伏線。これをどこまでちゃんとメモできるか。かといって、あまりに気を散らしすぎると小説の醍醐味を弱らせてしまう。
 私は、読んでいてある場面で齟齬を感じた。その場面ではどれほど重要な意味を持つものかどうか、そもそも意味を持つものかどうかさえわからなかったのだが、メモをし記憶にとどめて置いたところ、最後の場面で、その何げない一言が犯人にとって瑕疵となったのだった。自慢するわけではないが、これぞミステリ好きの面目躍如とするところではないか。
 近年警察小説が全盛で、特に北欧ミステリに秀作が多くて、それはそれで楽しんでいるのだが、イギリスからミステリの王道を行く本格探偵小説が誕生したことは、世界のミステリ界に大きなインパクトを与えたのではないかと思っている。山田蘭訳。
(創元推理文庫上・下)

町屋良平『1R1分34秒』

f:id:shashosha70:20190311090356j:plain

芥川賞受賞作

 二十一歳のC級プロボクサーが主人公。最下級のプロライセンスで、いわゆる四回戦ボーイと呼ばれるクラスか。デビュー戦を初回KOで華々しく飾ったものの、その後二敗一分けと負けが込んできている。
 ディテールがすごい。パチンコ店員として練習に明け暮れる若手ボクサーの生活、練習のこと、試合のこと、減量の様子、日常を徹底して描いている。このことがまずは魅力。
 主人公の年齢を考えれば青春小説と言えるのだろうが、甘ったるさは微塵もない。少々粗雑そうに見える文体がかえって中味に合致しているし、リアリティがある。
 いくつか引いてみよう。
 練習どおりができるのは好調のときだけだ
 ひとつひとつが的を得ている気がするのは、ぼくが試合に負けたせいで、それたったひとつだ。勝った要因は皆ひとつに絞りたがり、大抵は間違っている。負けた要因は皆百個も二百個もおもいつき、すべて正しい。これが勝負ということだ。
 トレーナーが途中からウメキチに交代した。ウメキチはまだ現役のはずだが、トレーナーとしてボクシングをみてみようということらしい。
 初めウメキチのやり方に反発し、ため口をきいたりしていたが、次第にウメキチのやり方についていくようになった。このウメキチとのやりとりがまるでプロの真剣勝負のようで味がある。
 ウメキチと進める減量はすさまじい。プロボクサーの宿命か。
 言語化できる地獄に地獄はない。少しずつカロリーを落としながら集中を切らせないウメキチとの日々は、確実に精神を削いだ。
 ウメキチは大仰な労いや試合にむけた意気込み等をいわなかったし、いわせなかった。わかっていた。いままでやってきたことのすべてとリングの上で再会する。
(「文藝春秋」3月号所収)

湘南モノレール

f:id:shashosha70:20190228101704j:plain

(写真1 利用者が多い大船駅。左が乗車ホーム、右は降車専用)

湘南の鉄道③

 湘南モノレールは、大船駅と湘南江の島駅間を結ぶ。路線名はモノレール江の島線。全線6.6キロ、駅数は8。
 江の島は、古来、景勝地として知られ、現在に至るも人気の観光地。陸繋島であり、神奈川県藤沢市所在。地名はあくまでも江の島である。ただし、江ノ島電鉄や小田急など交通機関では駅名に江ノ島と当てる場合が少なくない。ちなみに、江ノ電は小田急の子会社である。
 大船駅は、JRが東海道線、横須賀線、根岸線が乗り入れており、モノレール駅としてはここが起点駅であり、東側に片側2面1線のホームがある。1番線が発車ホームで、2番線は降車専用。
 何度も乗っている路線だが、改めて乗ってみた。3両編成で、懸垂式モノレール。懸垂式はアップダウンに強く、小回りもきく。2月24日、日曜日だが、乗客数はまずまず。
 高架の懸垂式だから見晴らしはいいが、ただし、揺れがひどい。開業して50年近く、ちょっと古くなってきているのかもしれない。単線だが、列車交換が可能な駅が途中に富士見町、湘南深沢、西鎌倉、目白山下と4駅あった。

f:id:shashosha70:20190228101815j:plain

(写真2 モノレールからの車窓風景)

 路線は、大船から一直線に江の島を目指している。起伏の多い路線で、沿線は斜面を住宅が埋めつくしている。
 富士見町を経て湘南町屋。三菱電機鎌倉製作所がある。続いて右手に広大な空き地が見えてきた。JR東日本の車両基地だったところで、ここが再開発されれば、大きなインパクトを与えるものと思われた。
 この先、西鎌倉、片瀬山、目白山下と続き終点湘南江の島。鎌倉から15分ほど。真新しい駅舎で、4階建てか、まだテナントが入っていなかった。
 駅を出て交差点を渡るとすぐ左側に江ノ電の江ノ島駅。さらに商店街になっている坂道を下っていくと突き当たりが江の島で、手前右奥に小田急の片瀬江ノ島駅がある。
 さすがは江の島で、徒歩5分くらいのところに、江ノ電、モノレール、小田急と鉄道駅が3つもある。
 なお、湘南モノレールは、1970年の開業当初は、江の島への観光路線であり、沿線の大工場への通勤の足としての役割が大きかったようだが、近年、宅地化が進むと、横浜や東京への通勤圏の需要が高まり、ある統計によると、実に乗客の9割もがこうした通勤者層だということである。
 だから、同社ホームページにある〝江の島に行くならモノレール〟のキャッチフレーズもすでに実態からは遠ざかっているようだ。

f:id:shashosha70:20190228102023j:plain

(写真3 湘南モノレールの終着駅湘南江の島駅)

 

江ノ島電鉄

f:id:shashosha70:20190227141128j:plain

(写真1 鎌倉駅。奥が江ノ電の駅舎)

湘南の鉄道②

 京急逗子線を新逗子駅で下車し、近接してあるJR逗子駅に徒歩移動。この間、わずか5分ほど。逗子からは横須賀線で一つ目鎌倉に向かった。
 鎌倉では鶴岡八幡宮にお参りした。裏通りの小町通りは大変なにぎわいで、まるで浅草寺の仲見世かと思われるほどだった。帰りは八幡宮から一直線に伸びる若宮大路を戻った。
 さて、江ノ島電鉄通称江ノ電。鎌倉と藤沢を結ぶ全線10.0キロの路線。ただし、線区上の起点は東海道線、小田急線と接する藤沢駅。駅数は15。
 路線は、有名観光地や名所をつなぎ、古都鎌倉を貫いており、まことに人気。年間を通じて観光客で溢れており、これほどの人気路線は全国の筆頭で、姉妹関係にある京都の嵐電を大きく上回る。
 また、江ノ電の際だった特徴は、沿線を結ぶ交通機関として利用者が多いことのみならず、鉄道としての江ノ電自体の人気も加わっていることにもあるのではないか。
 鎌倉駅はJRとの共同使用駅。構内に乗り換え改札口が設けられているほか、裏側にあたる西口には味わいのある駅舎が迎えてくれる。2面3線のホーム。頭端式で、番線表示はJRからの連番で、3-5番が江ノ電。
 片側1線の3番線が発車ホーム。この日は穏やかに晴れた日曜日だったから、ホームは乗客で溢れている。
 14時05分発藤沢行き。4両編成だが、2両の連接車が2組1セットになっており、いわゆる重連のかたちで運用。
 鎌倉を出ると和田塚、由比ヶ浜と続き長谷でごっそり降りた。ちょっと歩くが鎌倉大仏のある高徳院の最寄り駅。2年前、アメリカ人の友人を案内したが、興味を示さなかった。全般に観光に関心を持たない男だが、喜んだのは鎌倉ハムだけだった。
 この長谷のあたりと、この先、腰越付近が民家の垣根すれすれに走る。この設計限界が江ノ電の人気でもある。

f:id:shashosha70:20190227141233j:plain

(写真2 鎌倉高校前駅手前の踏切付近に群がる中国人観光客のグループ)

 極楽寺、稲村ヶ崎と続き七里ヶ浜で海沿いに出た。人気のオーシャンビューで、私も次の鎌倉高校前で途中下車した。
 ところが、驚いたことに中国人観光客のグループが群がっている。それも10人ほどずつ数グループに渡っている。写真撮影のためで、海沿いを走る電車と江の島、富士山がワンショットに収まることが人気らしい。構えているのはカメラとスマートフォンが半々ほどか。この鎌倉高校前駅の踏切では保安管理のためであろう、係員が旗を持ってさばいていた。今や全国各地でアジア系観光客の姿を目撃することができるが、鉄道写真にまで興味を示す時代となったのだった。

f:id:shashosha70:20190227141324j:plain

(写真③ 一般道路を走る路面電車ならぬ〝鉄道〟電車)

 次の腰越から江ノ島の間が路面走行区間。一般道路を電車が走る、いわゆる併用区間なわけだが、車両も一回り小さいし、こういうこともあってか、江ノ電をいわゆる軌道線である路面電車と勘違いしている人が少なくないが、実は、江ノ電はれっきとした鉄道線である。ただし、鉄道線が一般道路を併用して路面走行することは原則禁止されており、腰越-江ノ島間が鉄道事業法上の例外として特例区間となっている。
 この区間を歩いてみた。単線だが、さして広くもない道路の中央を電車が走っている。軌道を跨ぎながら走っている自動車も少なくない。上手に共存しているような感じだ。ただし、明確に区分された歩道もないから、大きな電車がやってくるとやはり恐い。

f:id:shashosha70:20190227141416j:plain

(写真④ 龍口寺付近の急カーブ)

 そしてもう一つこの区間で面白かったのは龍口寺前付近のカーブ。半径28メートルのカーブは路面電車では珍しくはないが、鉄道線ということではここが日本で最も急カーブということになる。
 道路はT字路になっていて、信号機が電車の接近を知らせ、自動車と歩行者に指示を与えている。S字にカーブを曲がると江ノ島駅である。江の島の最寄り駅で、駅前から江の島へと伸びる道は大勢の観光客でにぎわっていた。なお、江ノ島駅は片側1線のホームが相対しており、江ノ電では数少ない列車交換のできる駅。また、留置線もあり、早朝の始発便などが待避しているようだ。
 ここからは湘南海岸公園、鵠沼、柳小路、石上と続き終点藤沢到着。ドーム型の屋根で覆われた風情のある駅。この日は途中下車したが、通しで乗れば鎌倉から全線34分である。

f:id:shashosha70:20190227141514j:plain

(写真⑤ 藤沢駅に到着した江ノ電列車)

京急逗子線

f:id:shashosha70:20190225183045j:plain

(写真1 新逗子駅ホーム。電光掲示板の行き先表示は10分間隔で3本とも羽田空港となっている)

湘南の鉄道①

 「湘南」の規定には種々異論があるようだが、ここでは神奈川県の相模湾沿岸地域を指すこととし、一部三浦半島まで含める。風光明媚で温暖なイメージがあり、湘南と言うだけでブランド力もあり首都圏でも人気の広域通勤圏である。この地域を走る東海道線の中距離列車を湘南電車と愛称していて、車両はオレンジ色と緑色の塗色となっており、あるいはこのカラーが湘南のイメージを強くしたものかも知れない。
 その湘南地方の鉄道に乗りに出かけた。2月24日日曜日。快晴で暖かく、湘南のイメージ通りの日和で、大勢の観光客が訪れていた。特に、行き先ざきで中国人を中心にアジア系の観光客の多いことに驚かされた。
 京急逗子線。京浜急行本線の金沢八景駅から分岐して新逗子駅との間を結ぶ。全線5.9キロ、駅数はわずかに4。
 金沢八景。駅舎の新築工事中で、2面4線のホームがあり、途中駅にしては大きな駅。10時18分2番線からの発車。羽田空港からやってきた急行列車で、金沢八景-新逗子間は各駅に停車するが、さすがに日曜日の日中だから車内は空いている。
 金沢八景を出るとすぐに右にカーブし本線から離れていった。あらかじめ調べていったから気がついたが、上り線の線路は3線軌条になっている。軌間は1435ミリの標準軌と1067ミリの狭軌で、これは京急自体は標準軌なものの、JR東日本の子会社総合車両製作所横浜事業所(旧東急車輌製造)の工場が金沢八景駅に隣接してあるためで、狭軌であるJR東日本の車両を回送するために設けられているもの。
 六浦、神武寺と停車しながら三浦半島の付け根を東京湾から相模湾へと横断している。沿線は住宅地である。米軍の宿舎らしきものも車窓から見えた。ここは横須賀にも近いのである。
 そうこうしてトンネルを抜けたら新逗子だった。到着の直前、JR横須賀線の線路を跨いだ。
 新逗子10時26分の到着。わずか8分の乗車。新逗子駅は片側1線のホーム。ということは単線ということになるが、これは新逗子駅構内だけのことらしい。3線軌条があったり、単線があったりなかなかややこしい。
 駅構内に掲示してあった新逗子駅の発車時刻表によると、早朝と夜遅くを除き、全ての列車が急行羽田空港行きとなっていた。
 なお、新逗子駅とJR逗子駅とは近接していて、徒歩5分くらいか。両駅の中間に逗子市役所があった。
 逗子は三浦半島相模湾側の中心。北が鎌倉で、南は葉山となり、ここを湘南に加えるかは異論があるに違いない。

f:id:shashosha70:20190225183510j:plain

(写真2 新逗子駅南口駅舎)

小さな終着駅の旅情

f:id:shashosha70:20170619213023j:plain

(写真1 夜のとばりが降りた外川駅の佇まい)

銚子電鉄外川駅と外川漁港

 外川駅は銚子電鉄の終着駅。
 関東最東端は一つ手前の犬吠駅だが、ここが銚子半島の行き止まりという様相。こういうことはままある。根室半島の行き止まり、つまり根室本線の終着駅は根室駅だが、日本最東端は一つ手前の東根室駅である。
 銚子電鉄自体は全線わずか6.4キロしかないまことに小さなローカル私鉄だが、外川は終着駅として実に味わい深い駅である。ちょっと間があいてしまったが、先頃、この駅に昼に朝と晩と三度も降り立ってみたことがあった。そうすると、映画のロケにでも使いたいような古い小さな木造駅舎があって、終着駅として独特の情緒が感じられたのだった。駅には片側1面1線のホームがあり、ここのトイレを使わせてもらったが、とてもきれいで感心した。駅では年配の女性が制服制帽姿で勤務していた。
 そう言えば、この鉄道会社では、起点を除き9駅中実に6つの駅に駅員を配置しているし、一定区間だけだが車掌も乗務している。慢性赤字の鉄道会社でこのサービスはけなげである。

f:id:shashosha70:20170619213121j:plain

(写真2 駅から坂道を下って突き当たった外川漁港の様子)
 駅の改札口から通りに出てそのまま坂道を下っていけば外川の漁港があった。小さな集落だが、街路は碁盤の目のようになっていて情緒がある。坂道の途中に観光案内所があった。
 突き当たると漁港で、魚市場があった。この地域には銚子漁港という全国でも名だたる魚市場があるのだが、漁協ということでは、この外川魚市場はその支所のような感じ。この日は休漁だったのか、あるいは昼頃だったからすでに帰港していたせいか、数多くの漁船が港に入っていた。
 ぶらぶらしていたら食堂があったので昼食に入ってみた。定食になっていて、刺身の4点盛りにシラスのかき揚げがついていた。刺身はヒラメ、カツオ、タコ、シラスで、かき揚げは直径10数センチもある大きなものが2枚もついていた。また、汁もシラスで、まるでシラスづくしだったが、聞けば、この外川漁港はシラスの水揚げで知られたところらしい。
 満腹になってからの帰途は坂道がきつかった。坂の途中で喘いでいたらおばあちゃんが「きついだろう」と励ましてくれた。

f:id:shashosha70:20170619213221j:plain

(写真3 駅から漁港に向けて坂道になっている外川の街並み)