ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

名寄市北国博物館のキマロキ編成

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(写真1 キマロキ編成の雄姿)

伝説の雄姿

 キマロキ編成とは、蒸気機関車による4両編成の排雪列車のこと。4両の頭文字を取って名づけられており、初めのキは機関車、マはマックレー車、ロはロータリー車、そして最後のキも機関車。
 通常の除雪にはラッセル車が使用されるが、線路脇の雪壁が高くなると、ラッセル車では除雪が困難となる場合があって、豪雪地帯では排雪列車が出動した。
 まず、先頭の機関車がマックレー車を牽引。マックレー車は雪壁を崩し両側の雪をかき集める役目。次ぎに、集めた雪をロータリー車が回転する羽根で遠くへ飛ばし、そのロータリー車を機関車が後押しするという仕組み。
 北海道のほか東北や北陸の豪雪地帯にも投入されたらしいが、完全な編成で現存するのはこの名寄市北国博物館に保存されているもののみ。鉄道の歴史を知る上で極めて貴重な展示で、準鉄道記念物に指定されている。
 名寄市北国博物館は、JR宗谷本線名寄駅からタクシーで5分弱。宗谷本線沿いに屋外展示されていた。
 展示されている編成は、先頭から順に、SL59601号機(9600型蒸気機関車=大正10年11月3日川崎造船所製造)、マックレー車キ911号機(かき寄せ式雪かき車=昭和13年10月20日国鉄苗穂工場製造)、ロータリー車キ604号機(回転式雪かき車=昭和14年11月20日国鉄苗穂工場製造)、SL D51398号機(D51型蒸気機関車=昭和15年1月24日日本車輌製作所製造)とあり、最後尾には車掌車ヨ4456号車(ヨ3500形=昭和29年川崎車輌製造)も連結されて紹介されていた。車両編成の全長は約75メートル。
 名寄駅は、宗谷本線のほか、かつては名寄本線、深名線が集まる鉄道の要衝だったところで、展示車両は旧名寄本線の線路上だということ。すぐそばを宗谷本線が走っていた。
 現地を訪ねると、キマロキ編成が圧倒的迫力で展示されている。これがあの〝キマロキ編成〟かと感動する。保存状態はとてもよくて、今にも動き出しそうに各車両が黒光りしている。各車両とも実際に乗って見学することもできるようになっていて素晴らしい。
 パチパチと写真を撮っていたら、そばにいた80年配の男性が、わざわざ見に来たのかいと尋ねるからそうだと答えると、全国でもここにしかないんだよと自慢げだった。実際、名寄の宝だろう。


編成の各車両は先頭から順に次の通り。
蒸気機関車59601号機

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マックレー車キ911号機

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ロータリー車キ604号機(自力推進はできないがタンク車を従えている)

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蒸気機関車D51398号機

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車掌車ヨ4456号車

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