ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

薩摩長崎鼻灯台

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(写真1 長崎鼻の突端に建つ薩摩長崎鼻灯台)

開聞岳を望み風光明媚

 長崎鼻は薩摩半島の南端。九州最南端は錦江湾の対岸大隅半島の佐多岬である。また、鼻はとんがったところということから転じて岬を意味し、長崎鼻は長崎県にもあるし、ほかにも全国各地にもある。そういうことで、海上保安庁では、灯台表で薩摩半島長崎鼻にある灯台を薩摩長崎鼻灯台と命名している。
 11月30日。鹿児島中央6時21分発指宿枕崎線山川行き。錦江湾を左窓に見ながらどこまでも進む。桜島もきれいに見えていた。指宿を経て終点山川7時33分着。
 「日本最南端の有人駅」と標柱が立っている。ちなみに最南端駅は二つ先の西大山駅である。(いずれも沖縄都市モノレールを除く)。また、ここ山川港からは対岸の大隅半島根占港に航路があって、そこから最南端佐多岬にバス便があった。もう40年近くにもなるか、かつてこのルートで行ったことがあったが、現在はその船便もバス便も廃止されているらしい。
 さて、山川駅前8時22分発池田湖行き鹿児島交通バスに乗車。初め4人いた乗客も間もなく降りてしまい、その先は一人だけ。
 それで、運転手さんといろいろと話していたのだが、7年前このバスで西大山駅に向かったことがあったと話したら、「それじゃ、徳光の集落で降りたのでしょう」とのこと。その通りで、そのバス停から開聞岳を目標に畑地の中を30分ほども歩いたのだった。
 8時45分長崎鼻到着。バス停付近には大型の観光バスが数台駐車されていて、岬の突端に向けて土産物屋が軒を並べている。観光地なのである。大変にぎわっている。
 その理由がすぐにわかった。バス停から坂を下りながら5分も進むと、一気に眺望が開けた。正面に紺碧の海を背に真っ白い灯台が立ち、右手には開聞岳がくっきりと見える。実に風光明媚で、これほどの景色はなかなか得られるものではない。

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(写真2 海側から見上げた灯台)

 鼻の先っぽに進むと、白堊の灯台。デザイン灯台なのであろう、しゃれた灯台である。塔の高さは10メートル。スタイルがいい。
 灯台のある場所は10メートルほどの断崖にある展望台になっていて、大海原が広がっている。大きくは太平洋である。錦江湾に出入りする船舶の安全を担うもので、鹿児島を目指してくると、初め、右に佐多岬灯台を見つけ、続いて左前方に薩摩長崎鼻灯台を捉えるということだろう。
 遠くかすかに見える島は硫黄島か。活火山で、もう少し近い位置にある佐多岬からは噴煙を上げているところを目撃したことがある。
 灯台の眼下は荒々しい岩礁になっている。この岩礁側から灯台を見ると、灯台の姿はトーチのように見えなくもない。ここからは灯台と開聞岳が並べてみることができた。
 それにしても開聞岳はどうしたあんなにも均整の取れた山容をしているのだろうか。波打ち際から屹立していて、この日は快晴だったから雲のかかることもなく、全容をすっかり望むことができた。

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(写真3 灯台と開聞岳を一望に)

<薩摩長崎鼻灯台メモ>(灯台表及び燈光会等が設置した看板等から引用)
 所在地/鹿児島県指宿市
 位置/北緯31度09分4秒、東経130度35分2秒
 塗色・構造/白塔形
 灯質/群閃白光 毎8秒に2閃光(等明暗白光 明3秒暗3秒)
 光りの強さ/8500カンデラ
 光達距離/12海里
 塔高/10メートル
 灯火標高/21メートル
 初点灯/1957年(昭和32年)1月