ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

マリリン・スコット『アクリル画バイブル』

画材・色・表現技法のすべてがわかる

 ここのところアクリル画作品を見る機会が多くて、アクリル画とはどういうものなのかその基礎が知りたかった。もっとも、アクリル画を描いてみたいというようなことではなかったのだが。
 アクリル絵の具は、化学製品の副産物。20世紀半ばに登場した。ただし、顔料そのものは、油絵の具や水彩絵の具と同じで、アクリル絵の具の違いは、ポリマーの一種であるアクリル樹種をバインダー(色を画面に固着する糊の役割)として使っている点。
 水溶性であり、好みの濃度で描けるなど 厚塗りなど油彩絵具の表現力と、水洗いが可能な水彩絵具の扱いやすさを兼ね備えている。乾燥が極めて早く、乾燥後に耐水性となる性質から、手軽な絵具のひとつであるという。
 アクリル絵の具は市販されており、専用の筆もあり、パレットも専用のものがある。
 本書では、画材のことのほか、補色のことや絵の具の置き方と混ぜ方などが具体的に紹介されている。
 また、下書きや彩色などテクニックについても初級から上級まで言及している。
 とにかく、アクリル絵の具は水彩絵の具と同じような感覚で使用することができるというのが魅力のようだ。
 ただし、表現の幅の広いことが最大の特徴で、様々なマチエールづくりもできることなど奥行きは深そうだ。(竹下哉代訳)
(マール社刊)