私の出会った人
「私の出会った人」と題しメールマガジンまぐまぐに連載されていた124人が再録されている……
と、わかったのは読み始めてからで、本書を手に取るまでは佐高一流の辛口の人物評かと期待していたものの、実際は、軽めの交遊録みたいなもの。
いくつか拾ってみよう。
江藤淳については「江藤は私にとって嫌いになれない人だった」と書いている。護憲と改憲という立場の違いがありならこう書くのだから佐高は江藤を難敵と思っていたのであろう。(江藤淳との丁々発止)
小沢一郎について日髙は「生涯の敵」と評しながらも、「小沢には男女を問わず、根強いファンがいる」と持ち上げている。(小沢一郎は東北の男)
「会ったことが財産と思う人の一人が本田宗一郎である」と書く日髙。
創業者ながら世襲させなかったのも、たとえば松下幸之助などとは違っている。
ホンダに対するトヨタ……、真逆の企業風土を持っており……、しかし、いま、ホンダのトヨタ化……が現実のものとなっている。それを一番嘆いているのは本田だろう。(本田宗一郎の青年のような好奇心)
こんな調子で、好き嫌いと単純に採点しているわけではないが短文ばかりだし、時には含蓄もある。
(旬報社)