ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

生活の中の尾道水道

日本海峡紀行

(写真1 千光寺の展望台から見下ろした尾道水道)

まるで〝箱庭〟のような美しさ

 尾道水道は、尾道そのもの。尾道水道なくして尾道の町はなかったわけで、町の中に水道をかかえているようなものだし、こういう海峡と町との関係は少ない。
 尾道水道は、尾道市街と対岸の向島の間を東西に通じる海峡。幅は300メートル、長さは8キロメートルほど。
 尾道側は、山が海に迫りわずかの土地に市街が発達し、斜面に多くの寺院が集まるなど独特の景観となり、向島側は造船業が立地し、住宅地が奥に広がっている。両岸の間には3本の渡船が行き交っていて、尾道の風物詩となっている。
 また、水道自体が天然の良港のようなもので、全体が商業港の役割を果たしていて、これが尾道を発展させた。ただ、貿易港ではなかったようで、町にも洋風の景色は見当たらない。
 けだし、海峡の町ということでは、全国的にも人気が高く、一大観光地となっている。

(写真2 尾道水道に沿った遊歩道)

 JR山陽本線の尾道駅を下りると、目の前が尾道水道。水道の岸辺は遊歩道になっていて、そぞろ歩くにちょうどいい。遊歩道の沿道には洒落た店が軒を連ねていて、名物なのか尾道ラーメンなどという幟も見える。

(写真3 向島に向かう渡船の一つ)

 水道は流れは速くはないようで、見た目にはわからないほど。水道を通過する船は少なくて、向島と結ぶと船が行ったり来たりしている。休むことなくひっきりなしに運行されているのだが、乗客は途切れることがなく続いている。自転車の人、オートバイの人もいて、乗用車もいる。乗客の運賃は100円だから気軽に利用できる。対岸に渡れば、向島には島内にもバスが運行されている。
 水道の向島側は造船所が数軒あって、東側には日立造船向島工場とあった。

(写真4 新尾道大橋=手前と尾道大橋=奥)

 また、この日立造船の工場のさらに東、尾道水道の東の口には尾道大橋と新尾道大橋の2本の橋が並列してあった。ともに斜張橋というのは都市景観上はとてもいいデザインのように思える。

(写真5 渡船の船上から見た尾道の市街)

 水道の後背地は山になっていて、びっしりと住宅となっているほか、数多くのお寺が甍を見せている。どうしてこんなにもお寺が多いのかといぶかしく思うほどだ。
 その一つ、千光寺あたりが人気のスポットか。麓にロープウエイがあって、一気に山頂まで運んでくれる。眼下に広がる尾道水道とその両岸は、日本遺産の謳い文句通り、まるで箱庭の様相だ。

(写真6 尾道の名物尾道渡船)