ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

『探訪 貨車駅舎』

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古い貨車を駅舎にした駅巡り

 鉄道写真で知られるレイルウエイズグラフィックの編著。だからだろうが、貴重な写真が多く、丁寧な編集が素晴らしい。B5判の大きな誌面に写真とイラストが豊富で、見ていて楽しい。
 貨車駅舎とは、鉄道貨物で使用されていた古い貨車を駅舎に転用したもの。使用される車両には、車掌車が多いが、ここでは、緩急車やワムなどの形式も含まれていて興味深い。私は車掌車好きだが、ワムやワラなどは眼中になかった。
 取り上げられているのは、今も現役の駅として使われている30駅と、今は使われなくなった53駅。
 最初に紹介されているのは勇知駅。宗谷本線の駅で、1924年6月25日の開業、貨車駅舎化は1989年以前とある。貨車形式はヨ3500。つまり車掌車である。見開きいっぱいに大きな写真が載せられており、外装が更新された駅舎が美しい。このページには、駅名標と駅舎内に掲示してある時刻表の写真も載せられており、時刻表を見ると、この駅には日に3本(下り)しか列車は止まらない。
 次のページには大きなイラスト。車両の俯瞰図である。車両の内部がわかるような具体的な絵になっていて大変興味深い。駅の概要やヨ3500形の貨車情報なども書き込まれている。続いて、駅の周辺案内や、木造駅舎だったころの勇知駅などが紹介されているページ。
 感心したのは、道南いさりび鉄道の釜谷駅。この駅は1986年貨車駅化していて、使用した車両はワム80000。この駅は何と有人駅なのである。つまり、近所のご夫婦が面倒を見ている簡易委託駅というわけ。近所の人たちの集会所にもなっているようで、大変好ましい。
(グラフィック社刊)