ABABA’s ノート

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SANAA『環境と建築』展

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(写真1 展示室の様子=3階)

妹島和世+西沢立衛の建築家ユニット

 乃木坂のTOTOギャラリー・間で開催されている。
 SANAAとは、共に世界的な建築家である妹島と西沢による建築家ユニット。2004年ヴェネチアビエンナーレ国際建築展金獅子賞、2010年建築界のノーベル賞といわれるブリツカー賞など受賞。主な作品に「金沢21世紀美術館」、「ルーブルランス」などがある。
 会場は3階と4階にまたがっていて、手がけている建築設計の模型が多数展示してある。
 ボッコーニ大学新キャンパス(ミラノ)、セレスタの住宅(フランス)、新香川県立体育館、深圳海洋博物館(中国)、シドニーモダーンプロジェクト(オーストラリア)、アントワープタワー(ベルギー)などと建築物の種類は多彩で、建築地も世界各地。

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(写真2 新香川県立体育館三つの競技場模型。下は全体を覆う大屋根)

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 新香川県立体育館について、会場の展示説明には、新しい県立体育館のスタディ模型だとし、敷地は、高松駅、高松港に近い親水公園となっており、多目的広場がある。この既存の広場を囲むように瀬戸内海に浮かぶ小島のような屋根をかけ、高松駅、広場、体育館、親水公園、港、そして瀬戸内海まで緩やかにつながってひとつの大きな公共公園になることを目指した、とあった。
 工事にはこれから着工されるようだが、完成したら一度見てみたいと思わせられる魅力があった。
 会場入口の案内には、私たちは「建築と環境」ということを常に考え続けてきた。建築をつくることで境界をつくり出すのではなく、私たちの行為と環境が繋がったものとなるような場所をつくっていきたいとメッセージが掲示されていた。
 妹島であれ西沢であれ、SANAAであれ、これまでずっと注目してきた。そのためわざわざヴェニチアまで足を運んだし、金沢もランスも見てきた。作品のある十和田にも行った。直島にも出掛けた。そこで感じたことは、町に開かれた建築を目指しているのだなと素人ながらにとらえてきたが、そうか、「建築をつくることで境界をつくり出すのではない」ということだったのだなとこのたび初めて合点がいったものだった。