ABABA’s ノート

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第14回白堊芸術祭盛大に

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(写真1 開幕からにぎわっていた白堊芸術祭)

同窓会の総合美術展

 12月13日から18日まで神田神保町の文房堂ギャラリーで開催された。会場には、13日の開幕と同時に大勢が駆けつける盛況ぶりで、大半が同窓生のようだったが、ここのところ集まる機会が少なかったせいか、久々のにぎわいだった。
 白堊芸術祭とは、高校時代の同窓生による美術展。今回は、昭和20年卒の大先輩から61年卒の中堅まで49人76作品が出品された。
 出品分野は、水彩、陶芸、書、写真、パステル、布遊び、油彩、短歌、絵画、鎌倉彫、日本画、水墨画、写真五行歌、グラフィックデザイン、彫刻、アクリル絵画、ペーパークラフト、リトグラフ、詩、航空写真などと実に多彩。
 出品はプロアマ問わず一堂に会するのが特徴で、常連に加え初出品もあって新鮮な顔ぶれだった。常連の中には、3回4回と出品を続けるうちに明らかに作品の完成度が高まっている出品者も見られて、同窓生の展覧会らしい面白さだった。

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(写真2 千葉祐治鎌倉彫<宝相華文>

 感心したのは、千葉祐治さんの鎌倉彫で、この方は毎年出品しているが、まるで玄人はだしで、<宝相華文>は四角い額に円形と三角形が重層に彫り込まれた飾額で、美しさとともに緻密な彫刻は完成度が高いものと思われた。

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(写真3 高橋利宏陶芸<準結晶>)

 また、高橋利宏さんの<準結晶>と題する陶芸作品は、まるで結晶モデルを思わせる面白い造形で、陶芸作品としてはユニークな印象だった。高橋さんは物理学者で、近年陶芸をはじめられたとのこと。準結晶の模型を作品にしたものだが、対称性を持ちそもそもあり得ないとされる構造となっている。サッカーボールにも似ており、物理の世界では〝フラーレン〟と呼ばれるものらしい。
 なお、ずぶの素人がプロの作品にコメントするのも気が引けるが、ユニークだったのは坂本努さんの<トルソーと紙風船><ノウゼンカズラ>の2枚の油彩画。実に立体感のある豊かな画面になっている。不思議に思って作者にお聞きすると、部分的に絵の具を盛り上げて描いたとのこと。