ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

GENKYO横尾忠則展

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(写真1 横尾忠則自画像=会場に掲示されていたポターから引用)

原郷から幻境へ、そして現況は?

 ここのところ横尾忠則づいていて、東京ミッドタウンでカルティエ現代美術財団によるThe Artists展を見たばかりだったが、このたびは東京都現代美術館で開かれているGENKYO横尾忠則展を見てきた。
 大規模な個展となっていて、500点を超す作品が出品されていて、横尾の多彩な創造が一堂に展開されていた。
 とにかく多彩。才能がほとばしっている。コラージュがあり、古典からのインスピレーションも少なくない。技法・材質も多種多様で、油彩のみならず、アクリル、シルクスクリーンなどとあり、水彩もある。あらゆる表現手段を用いたと言えそうだ。
 注目したのは自画像である<T+Y自画像>(1982)。目は凝視しているようにも、うつろにも受け止められる。画面左上の首吊りロープは、どういう意味があるのだろうか。死への願望があったのか、あるいは恐怖だったのか。
 三島由紀夫がしばしば採り上げられていた。<男の死>(1985)は、三島とおぼしき男が十字架を背に逆さまに吊られていた。
 <死の愛>(1994)や<アマデウス369>(1997)などが気になった。中宮寺の観音像や寒山拾得にインスピレーションを得たものが面白かった。
 横尾の作品で最も関心の高いものはY字路を描いた作品だ。闇があり、日中があり、鋭く楔のような角になったものもある。大方のものは一方通行の入口と出口なっているようだが、どちらから入ってもいいのなら、右にするか、左にするか迷うところで、まるで人生の岐路に立ったような気分になる。

 ただ、横尾の作品で最も気に入っている一連のポスター、特に高倉健の網走番外地を描いたものは見当たらなくて残念だった。

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(写真2 <宮崎の夜-眠れない家>(2004)=会場で販売されていた絵はがきから引用)