ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

夏の米坂線

f:id:shashosha70:20210915160145j:plain

(写真1 坂町駅に停車中の米坂線電気式気動車)

冬もいいが夏もいい

 鶴岡からは新潟に向かわず、米坂線経由で帰ってきた。米坂線は冬の車窓がいい路線、夏の様子はどうだったか、久しぶりに記憶を新たにしたかった。
 米坂線とは、山形県米沢市の米沢駅と新潟県村上市の坂町駅を結ぶ路線。米沢駅で奥羽本線と、坂町駅で羽越本線と接続している。全長90.7キロ、駅数20。

f:id:shashosha70:20210915160322j:plain

(写真2 坂町駅。駅舎には〝鉄道のまちさかまち〟の大きな看板)

 坂町4番線13時31分発米沢行き。米沢線はとても不便な路線で、路線内を全通する列車は日に5往復しかない。特に日中は列車本数は極端に少ない、乗車したこの列車の前後は4時間も間が空く。
 列車は1両のワンマン運転。まだ新しい車両で、GV-E400系気動車である。これは、ディーゼルエンジンの動力で発電した電力で主電動機を駆動するディーゼル・エレクトリック方式の電気式気動車。ただし、いわゆるハイブリッドではない。2年前にキハ40の置き換え用として投入されたもの。私は鉄道ファンではあるが車両にはあまり詳しくはないが、米坂線内ではこの列車1編成のみの運行で乗ることが出来たのは幸運だった。

f:id:shashosha70:20210915160419j:plain

(写真3 荒川にかかる岩船ダム)

 坂町を出ると少しして山間へと分け入った。荒川が並行している。谷が深くなり、荒川の上流になったのか、左窓にダムが見えた。岩船ダムというらしい。発電用である。
 越後金丸を出ると小国との間が新潟-山形県境。小国は少し開けた盆地になっている。日本重化学工業山形事業所の工場があった。ここで数少ない列車交換が行われた。

f:id:shashosha70:20210915160500j:plain

(写真4 山間の小駅伊佐領)

 伊佐領、羽前沼沢と過ぎて登り勾配となったが、トンネル内で急な下りとなり、転げるように進んだ。

f:id:shashosha70:20210915160538j:plain

(写真5 今泉駅。右が米坂線、左は長井線の列車)

 やがて今泉。山形鉄道フラワー長井線の接続駅である。7分間停車した。列車交換があったわけではないが、長井線の上り列車、下り列車と接続があった。長井線は、特に今泉-荒砥間は、各駅ごとに独自の花を育てる花壇を整備していて見応えがある。
 今泉からは奥羽本線に接続するには、長井線なら赤湯まで20分、米坂線なら米沢まで30分を要する。

f:id:shashosha70:20210915160642j:plain

(写真6 米沢駅。いい外観だ)

 無理矢理米沢まで線路を引っ張ったという米坂線にそのまま乗っていると、西米沢、南米沢を経て終着米沢。4番線到着で、このホームは山形新幹線が発着する1番線の端を一部切り取ったという位置関係になっており、新幹線への乗り継ぎが容易。
 米坂線は冬がいいとは書いたが、実際、雪以外には何もないと言えるほど雪深い路線で、それが深深としてとても情緒がある。しかし、これはよそ者の勝手な興味で、米坂線はこの10年だけでも、豪雨や山崩れ、豪雪などで6度も不通となった経緯があって、厳しい自然環境によってたびたび廃線の危機にも見舞われている。米坂線の永続を願ってやまない。
 また、このたびは夏の米坂線にも乗って、米坂線の魅力を再認識したようなことだった。米坂線は冬もいいが、夏もいいのである。
 仙台、山形、新庄、余目、鶴岡、坂町、米沢と回ったこのたびの旅も、ここからは山形新幹線で一気に東京となる。なお、米沢駅では米沢牛の弁当がいい。全国津々浦々幾多の鉄道旅を行ってきた私でも、米沢牛弁当は五指に入るうまさである。