ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

羽黒山へ

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(写真1 羽黒山頂にある三神合祭殿)

出羽三山の一つ

 鶴岡滞在中には、羽黒山を訪ねた。もとより、月山、湯殿山と共に出羽三山の一つ。月山まではともかく、羽黒山には登ってみたいと思っていた。鶴岡は三度目だが、羽黒山は初めてだった。
 羽黒山は、三山のうち、月山の1984メートル、湯殿山の1500メートルに比べ414メートルと低い。地図で見ると、月山と湯殿山は並んでいるが、羽黒山だけは離れていて、月山の北西山麓に位置する。いずれにしても山岳信仰の山である。
 羽黒山へは、鶴岡駅からバスが出ている。市街中心を回って山頂へと至る路線バスで、所要約50分。山域に入るといくつもの宿坊を過ぎていく。途中、随神門は山門であろうか、登坂が続き、やがて羽黒山頂。バスの終点であり、土産物屋が並んでいる。

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(写真2 羽黒山頂の境内)

 バス停から10分ほどで社殿。いくつもの社殿が軒を連ねている。その中でひときわ目を引くのは三神合祭殿(さんじんごうさいでん)。高さが28メートルもある茅葺きの豪壮な建物。たびたび火災に遭っていて現在の建物は文政元年(1818年)の完成で、国重要文化財に指定されている。日本随一の大社殿といわれる。
 三神とは、月山神社・出羽神社・湯殿山神社の三つの神が祀られているためで、月山、湯殿山の二山が冬期雪のため参拝できないため羽黒山に合祀しているとのこと。正面を見上げると三神の扁額が並んでいた。なお、羽黒山神社という名称はなくて、出羽(いずは)神社と称していた。
 境内には、数多くの社殿があって、釣鐘もあった。健治元年(1275年)の銘があるという古いものだが、神仏習合の名残か。

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(写真3 羽黒山随神門)

 帰途もバスを利用し、随神門で途中下車した。参拝道の入口に当たり、頂上までは2446段の石段が続く。下山してきた人の話によると、まるで這って登るようだったとのこと。よほど健脚でないと挑戦できない。

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(写真4 羽黒山五重塔)

 朱塗りの立派な門で、修験者もここから山に入るのかと思うと何やら身が引き締まる。頂上にまでは登らないが、杉並木を15分も歩くと、卒然として五重塔。国宝である。室町時代の建立と言われる。
 古色蒼然としているが、山中に佇む様はとても風情がある。東寺の五重塔などのような洗練された外観ではないが、どっしりとした趣がある。
 また、近くには、〝爺杉〟と呼ばれる杉の大木があった。樹齢千年を超すという老木である。

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(写真5 杉の大木〝爺杉〟)        (2021年8月30日)