ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

宮城県立美術館

f:id:shashosha70:20210904122704j:plain

(写真1 宮城県立美術館の正面外観)

魅力あるコレクション展示

 このたび仙台、山形、鶴岡、米沢と巡った。
 仙台では、所要をを片付けた後、宮城県立美術館に寄った。私は、地方に出掛けた際、時間が許せばその地の美術館を見学するようにしている。県美はそれぞれに魅力あるコレクションを有しているし、美術館にはそこでしか見られない作品がある。
 宮城県美は、地下鉄東西線の国際センターが最寄り駅。東北大学や仙台二高などがある文教地区で、高台にあり、広瀬川を眼下に挟んで仙台市街を見下ろせる。美術館は駅から徒歩5分ほど。
 何度も訪れているのだが、この日も目当てはコレクション展。

f:id:shashosha70:20210904122810j:plain

(写真2 松本竣介<画家の像>)

 松本竣介が11点も展示されていた。竣介については岩手県美、国立近美、それに私立の大川美に並ぶ有数のコレクションであろう。<郊外>があり、<画家の像>があり、<ニコライ堂>、<白い建物>、<運河風景>などとあった。<郊外>(1937)は青や緑がいかにも竣介らしい。また、<画家の像>(1941)は縦が162センチもある大きな作品で、屹立する竣介の全身に対し、傍らの夫人は恐れおののいているように私には受け止められる。戦争に反対する竣介に対し夫人は軍部の締め付けを懸念しているのだろうか。<白い建物>(1941頃)は、モチーフの縁取りに強い線を描いた竣介独特の画法だ。

f:id:shashosha70:20210904122902j:plain

(写真3 佐藤哲三<赤帽平山氏>)

 コレクションの中核をなすのは洲之内コレクションであろう。佐藤哲三<赤帽平山氏>(1920-30)がいい。おかしな言い方と思われるかも知れないが、私にはこの絵は〝鉄道絵画〟の傑作と思われる。海老原喜之助<ポアソニエール>や中村彝の<自画像>、萬鉄五郎<自画像>も印象深い。

f:id:shashosha70:20210906135216j:plain

(写真4 岸田劉生<真田久吉氏像>)

 傑作が多くて枚挙にいとまがない、岸田劉生、梅原龍三郎、藤田嗣治、安井曾太郎などとあって、年3回展示替えされるコレクション展のこれが1期分だけの作品かと充実ぶりには感心した。

f:id:shashosha70:20210904123028j:plain

(写真5 ヴァシリー・カンディンスキー<小さな世界>)

 また、ヴァシリー・カンディンスキーの作品が13点も出品されていたのには驚いた。なかでも、<小さな世界>(1922)が5-8の4点が組になって展示されていたのは注目された。いずれも木版画だが、カンディンスキーはドイツの画家、純粋抽象絵画理論の創始者として知られる。
 なお、カンディンスキーの隣には、同じドイツの前衛芸術運動青騎士の時代のメンバーであるフランツ・マルクの作品が展示されていた。
 一方、特別展としては「香月泰男展」が行われていた。約150点も集められた生誕110年の大回顧展となっていて、特に代表作となっているシベリアシリーズは抑留時代を描いてインパクトの強いものだった。自前のコレクションではないから写真撮影は許されなかった。                   (2021年8月29日)