ABABA’s ノート

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平山亜佐子編著『戦前尖端語辞典』

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新語・流行語を集録

 大正8年から昭和15年にかけて出版された新語・流行語辞典30冊から集めた。絵は山田参助。
 生活、学生、外来語、思想、女学生、文化、医療、社会、隠語の9つのカテゴリーに分類して掲載しており、総計285語が掲載されている。
 ざっと読んでみると、当時の社会風俗が反映されており面白い。ただ、現在ではすでに遣われていない言葉が大半で、新語・流行語の短い運命が知れてそのことが悲しかった。
 [薩摩守]は、「ただ乗り」のことだが、語釈には平家の落武者薩摩守忠度(ただのり)から思いついた語とある。しかし、鞘がついた小刀の意味もあったはずだがどうだったか。
 水道水のことを[鉄管ビール]とは現在も遣うが、[ラムネ]が月賦の隠語となっていたことは知らなかった。ラムネを飲むと「げっぷ」と来るからというのは面白い。
 [エッチ]とは良人。夫のこととある。Hasbandの頭文字を取ったとある。しかし、現在遣われている性的にいやらしいことを表す非難めいた言葉の[エッチ]は昭和25年ごろから言われ始めたとしている。
 もう一つ感心したことは、外来語のこと。英語以外にドイツ語、ロシア語、フランス語、朝鮮語、中国語などとあり、この時代の原語には多様性があると指摘している。
 それにしても、新語・流行語辞典がこの時代に30も出ていたというのも驚き。その一覧が巻末にまとめられているが、その中に『秘密辞典』(自笑軒主人著、千代田出版部、大正九年)や「現代女学生隠し言葉辞典」(『少女画報』大正一五年四月号』などとあって興味がわく。
(左右社刊)