ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

あやしい絵展

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(写真1 会場の様子)

女は怖い

 竹橋の東京国立近代美術館で開かれている。
 おどろおどろして不気味な絵、異界や魔界を描いた絵、中には女の裸体に虫が這っている絵があって気持ち悪くてじんま疹が出てきそうな絵もあって正視しかねるような絵もあった。
 圧倒的に女を描いた絵が多い。それは女は怖いということか。笑顔の下に隠された心情、一途と狂気はいずれも女の題材になると不気味さは増す。

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(写真2 北野恒富<淀君>)

 北野恒富の<淀君>(1920、耕三寺博物館)。大きな絵で圧倒的迫力。上目遣いの鋭い眼光、きりりと結んだ細い唇、あくまでもたおやかな白く長い手の指。淀君はかくありなんという強さが表れている。着物の柄が五七桐というのもいい。

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(写真2 北野恒富<淀君>の部分)

 甲斐庄楠音<毛抜>(1915、京都国立近代美術館)はあやしくも痛々しい。毛抜きで髭を抜いている若衆髷の男子である。少年のようにも思えるが髭を抜いているところから青年か。あらわになった上半身がなまめかしい。

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(写真3 甲斐庄楠音<毛抜>)