ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

ピアノソナタ

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(写真1 ピアノ曲が収録されているCD集)

音楽の好みにも変化

 このごろは家にいる時間が長いから、音楽もよく聴いている。
 ただ、私は不器用で、音楽を聴きながら本を読んだり、音楽を聴きながら原稿を書いたりするということができない。BGMのつもりで音楽をかけるとそれは邪魔になるし、BGMにかけた音楽が気になって本来のことが散漫になる。
 だから、音楽はあくまでも音楽として聴いている。だからといって、かしこまって音楽と向き合っているわけではないが。
 もっとも、私は音楽好きではあるが、格別の音楽ファンというほどのものではない。その音楽にしてからが、クラシック、ジャズなどと何でもありで、我ながらいい加減。まあ、CDだけは数百枚は持っているし、図書館からも借りてきて繰り返し聴いている。どのような曲を聴くかは、その日そのときの気分次第なのだが、このごろでは圧倒的にクラシックが多い。それも、かつては交響曲や協奏曲、とくに弦楽四重奏曲が好きだった。
 それが、このごろではピアノ曲が多くなった。それもピアノソナタが。このことを音楽に造詣の深い友人に話したら、「それは歳のせいでしょう」という。つまり、歳を取るとシンフォニーなどのような長い曲は疲れるので、短い曲を好むようになるのだそうである。なるほどという気もするが、そのことはともかく、ピアノソナタ。ショパンの小品もいいが、複数の楽章を持つソナタが私にはちょうどいいサイズに思える。それならなぜコンチェルトではないのかと指摘もされそうだが。
 ピアノソナタならベートーベンか。生誕250年を迎えた昨年はベートーベン・イヤーということで繰り返しベートーベン特集がテレビなどで組まれ、ベートーベンのピアノソナタも紹介された。
 それで聴く機会が増えたのだが、全32曲といわれるベートーベンのピアノソナタ全曲を聴くことができた。
 それでわかったこと。ベートーベンは<運命>や<合唱付き>などがあまりにも有名で、交響曲にこそ真骨頂があるように思えてきたが、ピノソナタこそがベートーベンが心血を注いできたのではなかったかということ。
 とにかく美しい作品が多い。いずれも甲乙つけがたいが、好き嫌いだけで選ぶなら、<悲愴><月光><テンペスト><熱情>あたりか。音楽にさほどの造詣もないずぶの素人が僭越なことだが。
 ピアノ曲は多くの作曲家が書いているが、自身がピアニストだったリストやラフマニノフにも難解だがすぐれた作品がある。
 ソナタということではないが、ラフマニノフの<パガニーニの主題による狂詩曲>や<ヴォカリーズ>も、この作曲家の代表曲であろう<ピアノコンチェルト第2番>からは想像もできない繊細さが感じられて興味深い。