(写真1 会場で配布されていた開催案内のチラシから引用。上段の絵が「長岡の花火」部分)
ゆかりの我孫子市で
千葉県我孫子市で開かれている。山下清(1922-1971)は、市内の弁当屋で働いていたなど我孫子市にゆかりが深い。
貼絵を中心にペン画や油彩画水彩画などと少年期から晩年に至る山下の画業の全貌がわかる内容だった。展示作品数は約140点。
とにかく緻密で色彩豊か。膨大な時間を要するだろうし、集中力と根気が必要であろうことはうかがえる。まるで貼絵とは思われないような作品も多いが、しかし、貼絵でなければ表現できないような奥行きも感じられて魅力の深いものだった。
有名な「長岡の花火」(1950)など、花火の美しさに感心すると同時に、途方に暮れるような緻密さだ。
山下は、放浪の画家として知られるが、放浪は、長いときには2ヶ月にも及ぶことがあったようだ。全国各地に足を伸ばしているが、山下は現地で制作することはなく、帰ってきてから記憶で描いていたという。あまりに有名になりすぎて放浪がしづらくなってやめたというから面白い。
(写真2 山下清作「自分の顔」=会場で販売されていた絵はがきから引用)
気に入ったのは「自分の顔」(1950)という作品。28歳のころの自画像だが、ゴッホに憧れがあったというが、天才同士、相通ずるものがあったのであろうか。
山下は、我孫子の駅弁販売を行っていた弥生軒で働いていたことがあるのだが、その弁当の包み紙が山下画によるものだった。この弥生軒は、現在でも我孫子駅ホームのそば屋として続いている。
現在の弥生軒には山下を記念する額縁が掲げられてあって、「弥生軒はぼくが働いていたお店です 山下清」と直筆の色紙や、山下が弥生軒のために描いた弁当の包み紙も紹介してある。
(参考=我孫子駅ホームにある現在の弥生軒に掲示してある山下を記念する額縁)