ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

夕暮れの鮫角灯台

 

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(写真1 夕暮れの鮫角灯台)

沖合にイカ漁の漁り火

 五能線をきっちり乗った後は青森を経て八戸へ。おいしい酒と肴が欲しくてここに宿を取った。11月30日。
 八戸駅に着いたらまだ午後4時前。どうしてもと当初から計画したものではなかったが、まだ陽もあるし足を伸ばして鮫角(さめかど)灯台を目指した。今日は艫作埼灯台で遭難しかかったばかり。それなのにまたまた灯台とは何事か。そう思わないではなかったがそこはやはり灯台好き。
 八戸からは八戸線で鮫へ、約20分。ところが、乗っているうちに陽がどんどん落ちていく。つるべ落としという言葉その通りだ。鮫に着いたらまだ4時半前なのにもう薄暗い。躊躇がないわけはなかったが、鮫角灯台は車で入れるところ。タクシーで約5分。灯台に着いたら暗くなっていたが、灯台は目の前。

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(写真2 鮫角灯台の上部)

 夕闇に真っ白い灯台がすっくと立っている。とても姿がいい。灯台はすでに点灯している。ただ、光跡がくっきりとはわからない。まだ、さほど暗くはないのだ。灯器はLB型であろうか。
 沖合を見ると、水平線近くが燃えたように明るくなっている。その幅数キロ。対岸があるはずもなく、ふと気がついた。イカ漁の漁り火だったのである。幻想的である。そう言えば、八戸の漁港はイカの水揚げで有名だった。
 鮫角灯台は、4月から10月の間だけだが一般公開を行っている。参観灯台の仲間入りをしたわけで、八戸市が灯台を観光に積極的に活用しているのは好ましい。
 三陸海岸を北上してくると、魹ヶ埼灯台、陸中黒埼灯台の次が鮫角灯台。八戸港の入口を照らす。この先は下北半島の尻屋埼灯台ということになる。
 鮫角灯台は高台にあり、足下の海岸沿いに八戸線が走っている。高いところにあるから気がつく人は少ないかもしれないが、車窓から見える灯台ということでは全国でも屈指の美しさだ。
 ところで、鮫角灯台の位置は、北緯40度32分24秒。日本海側の艫作埼灯台は北緯40度36分8秒だから、ほお同じ緯度線上ということになる。同じ日に日本海側と太平洋側と同じ緯度線上の灯台に立つというのも珍しいこと。
 ちなみに、この二つの灯台より少しだけ南にある、日本海側の入道埼灯台と、太平洋側の陸中黒埼灯台はぴったり北緯40度線上である。
 日本の灯台50選に選ばれている。

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(写真3 八戸線車窓から見上げた鮫角灯台=2019年3月24日)

<鮫角灯台メモ>(「灯台表」等から引用)
 航路標識番号1625(国際番号M6620)
 名称/鮫角灯台
 所在地/青森県八戸市鮫町
 位置/北緯40度32分4秒 東経141度34分6秒
 塗色・構造/白塔形 コンクリート造
 塔高/23メートル
 灯火標高/58メートル
 灯質/単閃白光毎8秒に1閃光
 実効光度/10万カンデラ
 光達距離/20海里
 初点灯/1938年(昭和13年)2月16日