ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

三岐鉄道丹生川駅の貨物鉄道博物館

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(写真1 貨物鉄道博物館のワフ21120緩急車)

シリーズ車掌車を訪ねて

 貨物鉄道博物館は、三岐鉄道三岐線丹生川駅(三重県いなべ市)に隣接してある。2003年の開館で、貨物専門としては日本で初めての鉄道博物館。運営はNPO法人で、運営資金は寄付によっており、活動はボランティアによっている。なお、開館は毎月第一日曜。
 丹生川駅は、三岐線で起点の近鉄富田から北上すること約40分、この先は東藤原から終点西藤原へと伸びる。三岐線は私鉄では今や日本で唯一セメントの貨物輸送を行っている鉄道路線。
 丹生川駅では小さな駅舎が出迎えてくれ、左手に線路沿いに進むとすぐに貨物鉄道博物館。本線に並んで博物館の展示線があり、さらに博物館の建屋が並んでいる。訪れたこの日は平日だったので博物館は閉まっていて、展示線に据えられている車両だけ見学できた。なお、この建屋はどうやらかつての貨物用の荷さばき場だったようで、ホームがそのまま残っていた。

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(写真2 屋外展示は蒸気機関車を先頭に貨物列車の編成。左は三岐線)

 展示車両は、蒸気機関車を先頭とする貨物列車の編成になっていて、先頭からB4形39号蒸気機関車。英国製で、東武で貨物列車牽引に使われてきた。1898年製造。
 続いてト1形15号10トン積無蓋車。1912年製造で、当初、瀬戸電気鉄道で使われた。
 次がト200形246号有蓋車。日本車輌製造1917年製造。常滑線で使われていたが、その後無蓋車に改造された。未来技術遺産(国立科学博物館重要科学技術史資料)に登録されている。
 続いて新潟県の蒲原鉄道のワ11形11号有蓋車。1929年製造で、側面が木張り。また、同じく新潟鐵工所で製造されたワ1形5490号有蓋車が続いている。

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(写真3 デッキ側から見たワフ21120緩急車)

 そして最後尾がワフ21000形21120号緩急車。1934年汽車製造。国鉄初の鋼製有蓋緩急車で、2人常務用の広い車掌室が特徴。貨物室は小口貨物用で、最終的には西濃鉄道で使われた。2010年未来技術遺産に登録されている。
 外観はしっかりしていたし、内部も車内に入ることはできなかったが、ドアからのぞき見たところでは、椅子が2脚にストーブや扇風機が配置されていた。なるほど広い室内で、2人業務用となっていた。
 ほかに、屋外展示には、シキ160形という非常に珍しい車両が展示されていた。130トン積み大物車で、特大貨物である大型変圧器の輸送に用いられた。1955年日本車輌製造の製造で、1両のみが製造されたようだ。富士電機向けで、その後日本AEパワーシステムズに移籍。未来技術遺産。
 とにかく巨大。全長23.756メートル、全幅2.720メートル、全高3.372メートルもあり、荷重が130トンで、自重は37.8トン。換算両数は積車で13.5、空車4.0。車体は2分割になっており、軸数が何と12軸もある。

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(写真4 全長が23メートルを超す巨大なシキ160形貨車)