(写真1 北勢線西桑名駅)
ナローゲージの鉄道路線
三岐鉄道の北勢線は、これは何とも珍しくも楽しくなる鉄道。軌間がわずかに762ミリというナローゲージ(特殊狭軌)なのである。観光鉄道はともかく、一般に旅客営業を行っているものとしてはほかに四日市あすなろう鉄道に例があるだけの貴重な存在。
桑名駅で養老線を下車し北勢線西桑名駅へ。二つの駅は駅名は違うが隣接している。この桑名駅西桑名駅は面白いことがあって、実は多種のゲージが揃っているのである。
つまり、近鉄名古屋線が1435ミリの標準軌、JR関西本線が1067ミリの狭軌、そして三岐鉄道北勢線が特殊狭軌の762ミリと三種のゲージが並んでいる。これは日本ではここだけで、構内を横切る踏切では、この異なった軌間の線路を渡っていけるということである。
(写真2 西桑名駅に停車中の阿下喜行き列車。左はJR線、その向こうが近鉄線である)
北勢線は、西桑名駅と阿下喜駅の間を結ぶ全線20.4キロの路線。駅数は13。起点の西桑名は片側1線のホーム。4両編成。入線して来た列車を見たときには車両はさほど小さいようには思われなかったが、乗り込んでみるとやはり断然小さい。4両のうち先頭車両だけは前向きの座席で、しかも運転席は車両中央にあるではないか。残る3両はいずれもロングシートとなっており、座って足を伸ばすとお互いの足が触れあいそうだ。5月10日、12時05分の発車。
(写真3 いかにもナローゲージらしい車内)
東員には車両基地があった。ここでは上り下りの列車が一緒になり、留置されていた車両もあったから、3編成が揃って並んでいる様子が見られた。乗務員が交代した。
楚原では列車行き違い交換のため9分の停車。
沿線の田んぼは田植えも終わり、張られた水が鏡のように光っている。
そうこうして終点阿下喜到着。13時05分。ぴったり1時間の乗車である。これでは表定速度が約20キロということになり、やはり遅い。
なお、この駅に隣接してもっと小さな電車が止まっている。軽便鉄道博物館だという。ちゃんとした転車台もあってよく整備されているようだ。
(写真4 北勢線終点阿下喜駅。しゃれた駅舎だ)