ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

アンドリュー・ワイエス展

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(写真1 会場の美術愛住館外観)

美術愛住館で

 美術愛住館は、地下鉄丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩数分。堺屋記念財団の創設で、2018年の開館。堺屋太一とその妻で洋画家の池口史子の業績を伝えつつ展覧会を開催している。館長は多摩美大教授の本江邦夫。

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(写真2 会場で配布されていた開催案内のパンフレットから引用。絵は「オルソンの家」)

 このたびの特別展は開館一周年記念としてアンドリュー・ワイエス展。1階と2階の展示室に、ワイエスが終生追求してきた<オルソン・ハウス>と<クリスティーナの世界>を中心に40点の作品が展示されていた。オルソン・ハウスはクリスティーナ姉弟の住まいである。
 展示されていたのは大半が習作。代表作「クリスティーナの世界」に至る手や肘などが緻密に描かれており、ワイエスの制作過程がわかるようだったし、画家とはここまで習作を重ねるものなのかと感心させられた。
 ワイエスの作品は、静寂さと孤独が感じられる。徹底した写実で、それを確かなデッサン力が支えているようだ。非常に奥深くてじっくりと観てかないと味わいを捨てかねないようだった。
 ワイエスが好きで、ニューヨーク近代美術館などでたびたび目にしてきたが、このたびの展示作品も既視感にとらわれて動かなかった。
 なぜかと思ったら、今回の展示作品はすべてが丸沼芸術の森からの貸し出しであるとのこと。埼玉県の朝霞にある丸沼芸術の森ではワイエス展をかつて観たことがあって、それで知っている作品が多かったのだろう。それでもワイエスに魅力は増すばかりでいつまでも印象深いものだった。

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(写真3 「クリスティーナの世界」習作=会場で販売されていた絵はがきから引用)