ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

高尾山ケーブル

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(写真1 高尾山ケーブルの麓駅清滝駅)

日本一の最急勾配路線

 高尾山は、東京の西部、八王子市にあり、標高599メートル。都心から約1時間ながら本格的な登山が手軽に楽しめるとあって人気の行楽地。国定公園になっており、ミシュランガイドでも三つ星に輝いている。約260万人を超える年間の登山者数は、実は世界一の登山者数なのだとか。
 京王高尾線を終点高尾山口で降りると、まるで門前町のようなにぎやかさ。登山口とは思われないほどだ。
 鉄道駅から5分ほどで高尾山ケーブルの乗り場。展望台に向けてケーブルカーとリフトが出ていて、ケーブルカーの山麓駅は清滝駅。来訪者には簡単な服装の人も多いが、本格的な登山姿も少なくない。
 麓の清武駅は標高201メートルで、展望台のある高尾山駅が標高472メートルであり、標高差は271メートルとなる。全長1020メートルである。最大勾配が608‰であり、ケーブルカーとしては日本一の急勾配である。
 実は、ケーブルカーは鉄道事業法による鉄道事業免許を取得する必要があり、このため鉄道の一種として鋼索鉄道と呼ばれることがある。軌間も大方の鉄道と同じ1067ミリである。車両の製造も一般の鉄道と同じく鉄道車両メーカーが行っている。

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(写真2 下り列車と行き違う中間地点)

 清滝駅を出るとすぐに急登坂にかかる。中間地点で下り列車と行き違う。交走式ケーブルカーという形式で、いわゆるつるべ式である。
 前方を見ると見上げる高さをのぼっていっており、後方に目をやると眼下に眺望が開けている。
 標高差270メートル、全長約千メートルをわずか6分で一気に結んでいる。
 終点の高尾山駅には展望台があり、眼下に東京・横浜が一望にできた。ただ、この日は晴れてはいたものの、霞がかかりクリアではなかった。
 また、麓からは高尾山頂に向けた登山路が整備されていて、幾つかのルートが用意されているが、最もポピュラーなコースならば、登りで約100分である。私も何度か山頂に立ったことがあるが、特に注意すべきは下りで、急ぎすぎると太ももの筋肉を痛めかねない。
 私は、全国に22ある鋼索鉄道のそのすべてに乗ったことがあるが、いずれにしても眺望がよく観光地となっているところが多い。中には全線トンネル内(青函トンネル竜飛斜坑線)とか、お寺の境内(鞍馬山鋼索鉄道)とか、終点が遊園地などというものもある(別府ラクテンチケーブル線)。また、中間駅が二つもあるようなもの(生駒ケーブル山上線)もある。

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(写真3 展望台から見た東京・横浜方面の眺望)