ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

京王井の頭線ぶらり旅

f:id:shashosha70:20190506171702j:plain

(写真1 井の頭線の終点吉祥寺駅)

京王電鉄では異質の路線

 先日のこと、京王線全線を乗りつぶそうとしたが、途中で道草を食ったりしているうちに時間が足りなくなり、井の頭線だけ積み残してしまった。しかし、改めて乗ってみると、井の頭線だけが京王電鉄の中で異質なようで、別扱いしたのも当然のように思えてきたのだった。
 その異質感は、その沿革にあったのだった。そもそも開業が小田急系であったこと、大東急時代も経ていることなどもあって、かつては帝都電鉄の路線であったのだ。渋谷を起点とするというのもそのような背景もあったものだろうし、そもそも、軌間が1067ミリというのは、他の京王電鉄線ではすべて1372ミリであることからも異質である。
 路線は、渋谷から中央線の吉祥寺まで西北に向けて斜めに横切っており、人気の住宅地を結んでいる。全線12.7キロ。駅数17。小さな路線だが、乗客は多い。
 4月24日渋谷駅。マークシティ街にあり、2階にホームがあるが、谷の高いところにあるから発車するとすぐに地上となる。1面2線のホーム。2番線から12時21分の発車。隣1番線から12時20分発の急行があったが、あえて各駅に停車する列車を選んだ。5両。この日は途中下車を繰り返しながらぶらり旅を楽しんだ。
 平日なのに乗客が多いし、特に若い人の姿が目立つ。二つ目が駒場東大前。ホーム後方の階段を登り右に出ると目の前が東大。教養学部のキャンパスである。ホームの看板には、〝家庭教師募集〟の広告が並んでいた。東大生の家庭教師は人気なのだ。
 池ノ上を経て下北沢。小田急とクロスしている。井の頭線との間で乗り換え改札があるが、かつては改札内乗り換えが可能だった時代もあり、小田急と井の頭線との関係がうかがわれる。
 小田急が地下化しているし、駅前の再開発が行われていた。
 しかし、一歩足を踏み入れると、下北沢一番街などと狭い街路が続いている。若者に人気で、劇場やライブハウスがあったり、しゃれたカフェやレストランも多く、それらには横文字の店が目立った。中には、タトゥの店もあってびっくりした。500円硬貨くらいの面積で1万5千円くらいらしい。
 ちょうど昼時だったので、ラーメンを食べたが、これがびっくりするほどにうまかった。中華そばの看板が出ていた。くどくはないが豚骨味のスープだった。また、コーヒーは通りにテーブルが出ているカフェでいただいた。生の豆を売っているような店で、注文すると焙煎してくれる仕組み。飲んだコーヒーは1杯200円。とても安いことに感心した。味は苦いくらい濃かったが、香りは薄かった。
 次ぎに下車したのは明大前。ここで本線である京王線とクロスしている。明大の和泉校舎が甲州街道を渡ったところにあったはず。
 次の永福町では、急行と各駅停車が接続する仕組み。なお、急行停車駅は、下北沢、明大前、永福町、久我山。
 浜田山を過ぎると左窓に神田川が見えてくる。高井戸もすぐそばを神田川が流れていてそのまま富士見ヶ丘。

f:id:shashosha70:20190506171839j:plain

(写真2 富士見ヶ丘駅では神田川がすぐそばを流れる。左は京王の頭線の検車場)

 私はかつて、神田川を河口から源流まで24.6キロ全流域を歩いて遡行し、140の橋をすべて渡ったことがあり、このあたりは馴染みがある。
 富士見ヶ丘を出ると線路と神田川に挟まれるように検車区があった。門は堅く閉まっていたのだが、たまたま出てきた職員に伺ったら、井の頭線車両だけの検修場とのことだった。
 左窓を見ていくと、次の久我山まで検車区は続いていてなかなか広大。ここも駅前に神田川が流れていた。
 続いて三鷹台だが、この直前で神田川を横切っており、神田川は右窓に変わった。川にはおびただしいほどの鯉のぼりが風に揺れていた。駅の近くには立教女学院の校舎が見えた。学生に声をかけたら、立教大学とは提携関係にあるが、系列ではないとのこと。
 そうこうして井の頭公園。すぐ前に公園の入口がある。園内を5分ほど進むと、神田川はいよいよ細くなって源流となった。井の頭池から流れ出たすぐのところの水門橋が源流に架かる橋。
 再び駅までとって返し、一駅で吉祥寺。2面2線のホーム。JR駅と直結しており、大変なにぎわい。

f:id:shashosha70:20190506171947j:plain

(写真3 井の頭公園の中にある神田川の源流井の頭池の水門橋)