ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

肥薩おれんじ鉄道

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(写真1 出水駅に停車中の肥薩おれんじ鉄道列車)

熊本-鹿児島県境を越えて運転

 熊本からは、今回の旅の最後の目的地鹿児島を目指した。
 熊本から八代までは鹿児島本線、八代-川内間が肥薩おれんじ鉄道、川内からは再び鹿児島本線で鹿児島中央という順である。もとよりかつては熊本-鹿児島中央間は鹿児島本線で1本だったが、九州新幹線の開業に伴う並行在来線の措置により八代-川内間はJR九州から切り離され、新たに設立された肥薩おれんじ鉄道に継承された。また、新幹線開業に合わせて、西鹿児島駅は鹿児島中央駅と改名された。
 11月29日、熊本6時28分発八代行きに乗車。新八代を経て八代7時07分到着。同じホームの前方肥薩おれんじ鉄道線に移動。7時13分の発車。
 私は、水俣でいったん途中下車したが、そのまま乗り通せば川内9時44分着9時54分発と続き、鹿児島中央には10時44分の到着となる。
 八代を出ると、日奈久温泉に至って海に面した。このあたり八代海あるいは不知火海とも言い、霞んではいるが対岸は天草である。
 水俣を経て袋を出て熊本-鹿児島県境を越えた。並行在来線を継承した第三セクターで同じ鉄道会社が県境を越えてそのまま運転しているのは実はこれは珍しい。東北本線の盛岡以北は、岩手-青森県境で、IGR岩手銀河鉄道から青い森鉄道へと運営する鉄道会社がバトンタッチされているし、北陸新幹線でも、長野県内がしなの鉄道、新潟県内に入るとえちごトキめき鉄道へと変わり、富山県に入るとあいの風とやま鉄道となり、津幡で石川県に入ると、金沢までわずか4駅なのにIRいしかわ鉄道へと細かく鉄道会社が変わっていくのである。
 熊本-鹿児島県境を跨いで肥薩おれんじ鉄道がなぜ運行しているのかその理由はわからないが、県境を挟んで乗客がすっかり入れ替わるならばともかく、肥薩おれんじ鉄道のこのやり方は合理的ではないか。社名にも、両県の旧国名が一字ずつ入っているし。

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(写真2 肥薩おれんじ鉄道の車内。様々な工夫が見られて楽しい)

 そう言えば、八代、水俣、出水の各駅で乗り換えたり途中下車したりとそれぞれに駅を利用したが、駅員の応対、駅の整備などと素晴らしいもので感心していた。また、乗った車両も様々な工夫があって、全般に肥薩おれんじ鉄道には経営に対する積極性が感じられて好ましかった。
 さて、出水。私の乗った列車はこの駅で19分も停車していた。時刻表で調べてみると、大半の列車はこの駅で10分前後は停車している。同じ列車に乗っているわけだから、運転系統が変わったわけでもないらしいが、ここには車両基地があるから運転士の交代などの事情があるのかもしれない。
 阿久根で再び海に出た。東シナ海で、遠く見える島影はもはや天草ではなくて甑島(こしきしま)列島であろう。
 そうこうして川内到着。九州に住む人以外ではこれをせんだいと読むのは仙台があるから馴染まないのではないか。ここで肥薩おれんじ鉄道は終点。この先は再び鹿児島本線となり、運転系統も変わる。八代から川内間はディーゼル列車だったが、川内から先は電化区間なのである。

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(写真3 川内駅ホーム。奥が肥薩おれんじ鉄道、手前がJR線である)