ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

甘木鉄道甘木線

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(写真1 甘木鉄道甘木駅)

三セク鉄道の優等生

 福岡県朝倉市の甘木地区に通じる鉄道路線には二つあり、まずは、西鉄甘木線で終点甘木駅に降り立ったあとは、甘木鉄道甘木駅に徒歩移動した。
 西鉄甘木駅を左に出て最初の交差点に立つと左手にもう甘木鉄道(略称甘鉄)の甘木駅が見えている。徒歩数分といったところ。
 小さな町にどうして二つも鉄道が引かれたのか定かではないが、西鉄線が甘木駅まで全通したのが1924年で、甘鉄線の開業は1939年だということである。途中に、旧陸軍大刀洗飛行場などもあったから、そういうことも関係しているのかも知れない。
 さて、甘木鉄道甘木線は、JR鹿児島本線の基山駅(佐賀県基山町)から甘木駅(福岡県朝倉市)に至る全線13.7キロの路線。駅数は11。旧国鉄の特定地方交通線だった甘木線を継承した第三セクター路線である。
 このたびは終点側から乗ったが、甘木駅はしっかりとした趣きのある駅舎。旧国鉄の古き良き時代を想起させてくれる。駅前には小さいながらもロータリーもあり起点から乗ってきて降り立ったら行き止まりの終着駅としてもっと風情があったのではないか。1面2線のホームがあり、構内にはたくさんの車両が留置されていた。数えてみたら、青や黄、赤などと色とりどりに7両にも及んだ。それも手入れが行き届いているようで感心した。
 10時14分発単行ディーゼルの基山行き。甘鉄ではレールバスと位置づけている。畑地の多い筑紫平野を走っている。当然のことながら西鉄線と似たような沿線風景だ。ただ、甘鉄の方がやや建物が多いか。
 二つ目が大刀洗。ここに飛行場があったのであろう。現在はキリンビールの工場になっている。頻繁に行き違い列車がある。単線だが交換できる駅が多いのである。これは地方の三セク鉄道では珍しい。
 少しして小郡。西鉄天神大牟田線西鉄小郡駅との接続駅である。乗客がごっそりと降りた。当初は乗り換えることができる位置関係ではなかったらしいが、甘鉄側が小郡駅を移動させて近寄ったらしい。
 列車本数が多く、西鉄との接続などと利便性が向上したためか、甘鉄はここ数年来黒字経営を続けており、国鉄線を継承した大方の三セク鉄道が苦しんでいる中にあって三セク鉄道の優等生といわれている。

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(写真2 行き違い列車交換のための待避線)

 小郡を出ると列車交換のできる待避線があった。大原信号場であろう。そして次の立野駅はホームが九州自動車道の真下だった。
 そうこうして基山到着。10時40分。片側1線のホームだが、線路がJR鹿児島本線と並んでいる。たくさん降りたが、それ以上にたくさん乗った。平日の日中なのに利用者が多いのである。
 ところで、甘木駅前には「日本発祥の地 卑弥呼の里 あまぎ」と彫られた石碑があった。解説板によれば、いたるところにそれらしき遺跡があるということである。
 一方、ここは秋月にも近い。秋月城下は小京都としても知られ大変興味深い。ただ、タクシーで片道5千円もすると聞いてあきらめた。
 秋月は、吉村昭の短編小説『最後の仇討ち』の舞台となったところだし、テレビドラマ化した『遺恨あり 明治十三年最後の仇討』も源孝志の演出、主演の藤原竜也いずれも印象深いものだった。
 秋月には一度は訪れたいものだと念願していたが、甘木駅も今回が二度目、果たして三度目があるものかどうか。

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(写真3 基山駅甘鉄線ホーム。右の列車はJR線列車)