ABABA’s ノート

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灯台150周年

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(写真1 建設から150年となる観音埼灯台)

日本初は観音埼灯台

 今年は明治になって150年。日本に初めて洋式灯台ができて150周年でもある。
 日本最初の洋式灯台である観音埼灯台の起工日が1868年(明治元年)11月1日であることにちなんでいる。ただし、竣工して初点灯したのは翌1869年(明治2年)2月11日である。一般的に初点灯日ではなく起工日を記念日にするというのは馴染まないが、記念日は何が何でも明治元年にということにしたかったのであろうか。ちなみに、制定したのでは海上保安庁である。
 さて、その観音埼灯台を訪ねてみた。ちょうど1年前にも見学していたのだが、灯台150年の節目の年ということで、改めて現地を訪れた。
 観音埼灯台は神奈川県横須賀市所在。京浜急行浦賀駅前からバスで約20分。住宅地を抜けていくと終点観音埼。周辺は公園になっていて、海沿いの遊歩道を進むこと約10分。案内板に従って急な階段を150メートルほど登ると真っ白な灯台が向かえてくれる。
 幕府が欧米列強と灯台の建設を約束したいわゆる江戸条約に基づき建設した条約灯台8基の一つで、ここ観音埼灯台が最初に完成した。関東大震災等による被害があって現在の灯台は3代目。初代は煉瓦造だったらしい。ちなみに、この煉瓦は当時の横須賀製鉄所で作られたものだという。ちなみに、設計は、灯台の父といわれるブラントンではなく、浦賀で技師だったフランス人のレオンス・ヴェルニーらだったとのこと。
 1925年に建て替えられた現在の灯台は、白色八角形のコンクリート造で美しい姿をしている。灯高19メートル、灯火標高は56メートル。
 内部を見学できる参観灯台で、らせん階段を登って展望デッキに立つと東京湾が眼下に一望できた。東京湾に鋭く突き出ていて、眼前の浦賀水道はまことに狭い。この狭いところを東京湾に出入りするすべての船舶が通過していて、ひっきりなしに船舶が往来していていかにも東京湾の玄関というほどのことがある。
 狭いところでは10キロ先が対岸の房総半島で、左手には富津の製鉄所が見え、正面は東京湾観音であろう。

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(写真2 レンズは第4等フレネル式)

 また、階段を上り詰めるとレンズが間近に見ることができた。意外に小ぶりで、第4等フレネル式なそうである。
  最初にできた洋式灯台という歴史といい、東京湾を臨むという位置といい、美しい姿といい、観音埼灯台はまさしく日本を代表する灯台というにふさわしい内容だった。

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(写真3 灯台の管理棟壁面には灯台150周年の横断幕が掲示されていた)