ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

紀伊水道を照らす紀伊日ノ御埼灯台

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(写真1 姿の美しい紀伊日の御埼灯台)

紀伊半島岬と灯台巡り①紀伊日ノ御埼灯台

 先週は紀伊半島一周の旅を行った。紀伊半島は日本最大の半島。和歌山側から入り、南海本線やJR紀勢本線などと海沿いをひた走り、岬を巡り灯台を訪ねた。また、この間の小さな鉄道路線を一つずつつぶしていった。7月21日~23日2泊3日。猛暑の続く中、なぜにこのような時節に出かけるのかという、半ばあきれられた言葉を背にしての旅立ちだった。熱中症に気をつけて!の注意も聞こえて、道中は、550ミリリットルボトルを日に3本ずつの水分を補給して万全の対応を行った。
 まずは紀勢本線和歌山から南下し御坊へ。ここから紀伊日ノ御埼灯台を目指す。ここを訪れるのは2度目だが、かつては岬に向けてバス路線があったのだが、廃止になってしまっていた。日の岬パークという園地があったのだが廃れたものらしい。それでやむなくタクシーにした。
 御坊駅から20数分、岬の尾根へ急坂を登り切るといきなり眼前に灯台が飛び込んできた。八角形の塔形をした真っ白な実に美しい灯台だ。高さが約17メートルといい、とても姿がいい。八角形というのも珍しい。石造ではないようだしコンクリート造のようだが、触ってみるとつるつるしてつやがある。どうやらアラミド繊維や樹脂系塗料で被覆し耐食性などを補強したもののようだ。最近このような灯台が増えてきた。
 灯台は100メートルを超す急峻な崖上にあり、眼下に紀伊水道を望み、素晴らしい眺望だ。大阪港や神戸港に出入りする船ばかりか、瀬戸内海に回る船もあって、大型船がしきりに往来している。ただし、この海域は潮の流れが速く、操船が難しいのだとはタクシー運転手の話。灯台はどこでも風の強いものだが、この日は穏やかで、気温もさほど高くはなく、せいぜい32度程度ではないか。36度を超している東京から来た者としては涼しげに感じるほどだ。冬も温暖だとはこれもタクシー運転手の話。
 対岸には四国の横たわっているのが見える。なお、徳島県の蒲生田岬灯台と結んだ線が瀬戸内海との境界となるとのこと。
 実は、この灯台は昨年3月に新築されたばかり。かつての灯台の敷地が崩落の恐れが出てきたため建て替えられたもの。約120メートル西へ移動したとのことで、所在地も美浜町から日高町へと変わった。2017年3月23日に新灯台が初点灯した。
 灯塔には初点銘板がはめ込んであったほか、これまでの歴代の初点銘板2枚も記念物として台座にはめ込まれ保存されていた。それによると、初点は明治28年1月25日で、その後太平洋戦争の戦災によって消失したため、昭和26年7月20日に再建され、さらに昨年建て替えられたということ。初代が鉄造で、二代目がコンクリート造だったとのことである。

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(写真2 後背地から遠望した灯台風景)

 なお、灯台周辺には別荘らしいが住居があり、後背地の高台には国民宿舎があった。現在は廃業してしまったらしいが、この地から灯台と紀伊水道を見下ろす風景は素晴らし景観で、国民宿舎が営業中なら点灯した灯台も見られただろうからはなはだ残念だった。

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(写真3 南東側から見た灯台)

<紀伊日の御埼灯台メモ>(海上保安庁/燈光会が設置した看板等から引用)
 位置/北緯33度52分55秒、東経135度3分36秒
 所在地/和歌山県日高郡日高町
 塗色及び構造/白色、塔形、コンクリート造
 灯質/群閃白光 毎12秒に3閃光
 光度/220,000カンデラ
 光達距離/21.5海里(約40キロメートル)
 高さ/地上から灯台頂部 約17メートル、水面から灯火 約128メートル
 管轄/海上保安庁第五管区海上保安本部田辺海上保安部