ABABA’s ノート

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演奏会「N響 夏2018」

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(写真1 演奏者が舞台に集まり始めたころの様子)

コンサートつづき

 二日続けてのコンサート。先週木曜日19日にしずくいし夏の音楽祭2018東京公演を代々木上原のこぢんまりとしたホールで楽しみ、翌20日金曜日にはやはり代々木のNHKホールでNHK交響楽団による夏のコンサートを堪能した。
 N響夏のコンサートは毎年恒例のもので、スポンサー岩谷産業。岩谷はこのコンサートのスポンサーとなってもう30年を超すらしい。
 定期演奏会などと違ってクラシックファンに限らず一般が対象だから毎回親しみやすい選曲で、今回はシベリウスのヴァイオリン協奏曲など2曲にブラームスの交響曲というプログラムだった。指揮:ユッカ・ペッカ・サラステ、ヴァイオリン:バイバ・スクリデ。
 初めにシベリウスの2曲。シベリウスは「フィンランディア」で知られるようにフィンランドの作曲家。会場で配布されていたカタログによれば、指揮者のサラステもフィンランドの出身だという。
 そのせいばかりではないだだろうが、丁寧な演奏で、哀愁を帯びたとても詩的な印象を受けた。
 特に1曲しか書かなかったというヴァイオリン協奏曲では、ソロの魅力を最大限に引き出しているように思われたし、スクリデの演奏は堂々たるもので、つやのあるものだった。第3楽章は重厚で、民族の誇りや歓喜というものが感じられた。
 ところで、スクリデがアンコールに応えて行った演奏がとても印象深いものだった。もちろんヴァイオリンの独奏なのだが、素晴らしいテクニックだったし、曲も不思議な魅力が感じられた。調べてみたら、ウエストホフのヴァイオリンソナタ第3楽章ニ短調の第3曲「鐘の模倣」というらしい。
 最後は交響曲で、ブラームスの第1番ハ短調作品68。以前にもN響で聴いたことがあるが、いわゆるベートーヴェンの第10番と揶揄されるように、確かにベートーヴェンの交響曲を想わせられるが、それは素晴らしい交響曲だという証でもある。
 第2楽章は美しいメロディーで叙情性があったし、第3楽章は軽快な展開で、第4楽章で重層的だったし、ベートーヴェンの第九にも似たメロディが挟み込まれていて面白かった。