ABABA’s ノート

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非溶融接合の適用と信頼性の追求

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(写真1 セミナーの様子)
マルチマテリアル時代の接合技術
 非溶融接合の適用と信頼性の追求~マルチマテリアル時代の接合技術と題する興味深いセミナーが、先週都内で行われた。産報出版の主催。
 セミナーでは6本の講演が行われ、対象としては自動車を中心に造船や輸送機全般に及び、鉄-アルミなど異種材料の接合が多く、接合プロセスとしては固相接合や接着などと幅広く展開されていた。
 興味深かったのは基調講演として行われた大阪大学廣瀬明夫教授による「自動車ボディにおけるマルチマテリアル化技術」と題する講演。
 この中で廣瀬教授は、自動車では重量とCO2排出量には相関関係が見られ、このため軽量化に向けた必死の取り組みが行われており、車体の材料構成比は鉄鋼が約60%まで減少し、非鉄金属や、複合材料を含む樹脂などの比率が高まるマルチマテリアル化の方向にあって、必然的にマルチマテリアル化における接合技術が重要になってきていると前提を延べ、アルミ合金-鋼接合における界面反応や接合強度について抵抗スポット溶接やFSW(摩擦攪拌接合)における継手評価などを概観していた。
 特に注目されたのは、自ら開発したというHFLFW(高周波線形摩擦接合)と呼ばれる新しい接合プロセス。約250Hzという高い摩擦周波数(高周波)で接合するのが特徴で、従来約50Hzだったリニアフリクションを高周波にすることによって接合界面全体を均一に接合することができるほか、界面温度が上昇しやすいところからアルミ合金に有効で、今後実用化を視野において開発を進めていきたいと述べていた。
  マルチマテリアル化は世界の自動車業界がしのぎを削っている方向性。材料が多様化すれば、必然的にその接合技術はますます難しくなり、廣瀬教授も「マルチマテリアル車体を実現するためには適材適所に材料を用いるための最適設計と信頼性の高い異材接合技術が必要だ」とまとめていた。