ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

福井を東へ北へ走るえちぜん鉄道

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(写真1 勝山永平寺線の車窓から九頭竜川とその先に白山の真っ白な頂=小舟渡付近で)
観光資源どう生かす
 えちぜん鉄道には、勝山永平寺線と三国芦原線の二つの路線がある。これらはかつて京福電鉄が福井県下で運営していた路線を継承したもので、えちぜん鉄道は沿線自治体が中心となって出資した第三セクター会社である。
  勝山永平寺線は、福井駅と勝山駅を結ぶ全線27.8キロの路線。駅数23。京福時代には越前本線と呼ばれていた。また、三国芦原線は、福井駅から二つ目の福井口駅で分岐し三国港駅間25.2キロを結ぶ路線で、駅数は22。

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(写真2 三国芦原線の終着駅三国港駅前は大河九頭竜川の河口)
三国芦原線
 11月28日。初めに三国芦原線に乗った。福井鉄道福武線で田原町駅まで行き、三国芦原線に乗り継いだ。
 田原町(たわらまち)駅は、軌道線の福武線と鉄道線の三国芦原線のホームが並んでおり、平面で乗換ができるから便利。出札窓口は別々にあるが一体の駅のように受け止められる。もっとも、三国芦原線と福武線との直通相互乗り入れ運転も行っているほどだから当然か。なお、福武線側では新しい商業施設の建設工事が行われていた。
 福井駅から来た三国港行きに乗車。9時48分の発車。1両の電車。ボックスシートである。若い女性の車掌が乗務している。美人で、すらりと背が高くスタイルがいい。少しして気がついたが、ドア扱いなどは行っていなくて、乗車券の取り扱いや乗降サービスなどを行っていた。車掌ではなくて、アテンダントと呼ぶようだ。
 列車は、福井平野をひたすら北上している。しばらくしてあわら湯のまち駅到着。芦原温泉への最寄り駅だが、乗車、降車ともに乗客は少なかった。三国芦原線に平行して北陸本線が走り、そちらにも芦原温泉駅があるが、温泉街には三国芦原線の方が断然近いのだが、いずれにしても電車の利用者は少ないようだ。
 あわら湯のまちを出ると、ほどなくして終点の三国港(みくにみなと)駅到着。片側1線のホーム。ここでも降車客はほんの数人と少なかった。駅前からはバスが出ていて東尋坊まで10分ほどなのだが、ここでも旅行者は観光バスを利用しているようで、芦原温泉、東尋坊と名だたる観光地を擁しているにしてはちょっとさびしかった。たまたま時間帯が悪かったのかも知れないが。
 三国港は古くから開けた港町。ちょうど九頭竜川が日本海に注ぎ込む河口に位置しているが、どこからが海なのか判然としないほどのいかにも大河。魚市場の岸壁は九頭竜川に沿っているようだった。
勝山永平寺線
 東尋坊を見物して再び三国芦原線で福井口まで戻り、勝山永平寺線に乗り換えた。乗り換え時間が1分しかなかったのだが、同じホームの対面同士だからこういう設定にしたものであろう。
 やはり1両の電車のワンマン運転。同じようにアテンダントが乗務している。若い女性でやはり美人。さっきもそうだったが、アテンダントはとても親切。お年寄りの乗降などをサポートしている。
 勝山永平寺線は、福井から東へ向かう路線。地図で見ると、JRの越美北線と山を挟んで並行している。
 途中に永平寺口駅。永平寺への最寄り駅だが、下車したのはほんの数人。バスの連絡が悪いせいだろうが、そもそも電車とバスを乗り継いでくる人を想定していないような設定だ。かつては、ここから永平寺まで永平寺線があったが随分昔に廃線になった。
 三国芦原線もそうだったが、勝山永平寺線も含めてどうもえちぜん鉄道は、観光客を鉄道に引き込もうという積極的な運用には見えてこなかった。折角の観光資源がもったいないように思えた。
 小舟渡あたりからか、九頭竜川が左窓に寄り添い、その先に純白の山が遠望できた。白山である。富士山、立山と並んで日本三名山と呼ばれるが、霊峰と呼ばれるだけにいかにも神々しくこのあたり絶景である。
 そうこうして勝山14時19分の到着。なかなか風情のある駅舎で、テキ6という古い電気機関車が展示してあった。かつては、ここからさらにに先へ大野まで路線は伸びていたらしい。私は勝山駅に降り立ったのは3度目だが、勝山から先への路線にはすでに廃線になっていて乗ったこがない。
 駅周辺をふらふらしていたら、九頭竜川が流れていた。勝山橋といった。駅前にはそば屋があったが、すでに昼の営業時間は過ぎていたせいか、やっていなかった。越前のおろしそばは辛いことで知られるが、越美北線の越前大野で食べたときには火が出るようで、女将にそのように感想を述べたら、「うちらのあたりはこれがあたりまえ」と軽くあしらわれたものだった。大根の辛さでこれほどのものは滅多にないものであろう。

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(写真3 勝山永平寺線の終着勝山駅)