ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

北陸三都巡りの旅

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(写真1 福井城跡。本丸跡に福井県庁のビル)
福井から金沢そして富山へ
 先週は30日まで4日間にわたり北陸地方を旅行した。福井から金沢そして富山へと巡ったもので、北陸へはこれまでもどこが多いということもなくほぼまんべんなく福井、石川、富山の三県は訪れているのだが、このたびのように一つの旅で三都すべてに宿を取って一挙に巡ったのはさすがに初めてだった。
 三都に共通するものは、いずれも県庁所在地であることだが、しかも旧藩時代からの藩庁所在地でもあり、当然ながら城下町である。また、名だたる観光地であり、酒と肴が美味いことに加え、和菓子にもいいものがある。しかも、これら三都では路面電車など私鉄電車が住民の足となっていることだ。美術館が充実していることも付け加えていいかもしれない。さらに北陸新幹線の開業(福井延伸は2022年度の予定)が都市の変貌を大きくしている。
 初めは福井。駅前に降り立つと、大きな整備が行われたらしく、福武線の停留所が、かつてはちょっと奥まったところにあったものが、駅の真正面まで引き込まれていた。
 福井は、越前松平家の城下町で、家康の次男である結城秀康が68万石で入封、福井城の築城を開始したとされる。城跡は駅から徒歩5分ほどのところにあり、石垣と堀が残るほか、かつての本丸跡には福井県庁や福井県警察本部の建物があった。
  地元の人には申し訳ないが、私はかつての城跡に県庁を建てるのが嫌いだ。文化施設などがある例は全国で見られるが、それはともかくとしてもで、しかも、本丸跡に建てるとは、天下でも取ったつもりか殿様然と成り上がったようで醜い。同じような例は前橋城もそうだった。
 夕食にはいっぱいやりに街へ出たが、当初願っていた越前ガニには手が出なかった。駅前の老舗料理店だったのだが、何しろ単品で1万2千円、コースなら2万8千円とあって暖簾をくぐれなかった。

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(写真2 金沢で食べた香箱ガニ)
 次が金沢。北陸新幹線が金沢まで伸びてきた効果は大きいようで、北陸三都の中では一人勝ちではないか。それほどの賑やかさだった。金沢駅の駅舎など堂々たるもので、百万石の玄関口ににふさわしい。
  金沢には、路面電車ではないが私鉄では北陸鉄道の石川線と浅野川線が走っている。かつては路面電車もあったがすべて廃止になった。香林坊から兼六園下などの路線があり、金沢の街を路面電車が走っている姿など想像するだけで情緒が感じられる。残念なことをした。
 金沢で美術館といえば、今や観光バスが横付けする金沢21世紀美術館が人気だが、私には21世紀美術館からもほど近く兼六園への坂道を登り始めたところにある石川県立美術館も魅力的だ。野々村仁清の国宝「色絵雉香炉」などコレクションが充実している。近代洋画が好きな私には鴨居玲の作品がうれしい。
 金沢では、今回も馴染みの小料理屋に寄った。女将が元気で、いつもの通り絶妙のタイミングで肴を出してくれるのもうれしい。その一つが香箱ガニ。雌のズワイガニのことで、雄に比べると甲羅の直径が10センチ程度と断然小ぶりだが、味は濃厚で、特に内子と呼ばれる部分が旨い。なお、福井ではセイコガニと呼んでいた。食べ方は一緒だった。
 続いて富山。富山駅も新しくなっていて、市内電車の停留所が駅ビルの懐に抱き込まれていた。
 街の中央に富山城跡があり、現在は公園になっているが、再建天守が美しい姿を見せている。富山藩は、そもそも加賀藩の支藩で、富山前田家が維新まで13代続いた。
 北陸三都はどこもそうだが、肴と酒ということでは富山はことのほか旨い。肴はこの時期氷見のブリが絶品だし、酒も立山その他が揃っていて楽しめた。

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(写真3 富山駅。駅ビルに抱かれるように市内電車の停留所)