ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

ミカ・タジマの個展

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(写真1 ギャラリーの様子。ガラス越しに撮影した)
「TOUCHLESS」
 ミカ・タジマの個展「TOUCHLESS」が東神田のTARO NASUというギャラリーで開かれている。
 ミカ・タジマ(田島美加)は、1975年ロサンゼルス生まれ、ニューヨーク在住のアーティスト。
 会場は二つの展示室に別れていて、一つには鮮やかな色彩のパネルが6枚。これが不思議な印象で、初めどういう手法か計りかねた。カンバスに描いたようにも思えたが、油絵でもなさそうだ。
 係の女性に伺ったら、シャカード織なのだという。つまり織物の一種ということだが、なるほど子細に観察すると、それらしくもある。綿のようだが、それにしても糸にしても多彩な色だ。
 そもそもがシャカード織の特色らしいが、タジマは緻密に設計した電子データをコンピュータ制御した織機に載せたということなのだろうか。昔でいう、パンチカードを使って柄を織っていくのがシャカード織らしいからそれに近いのかも知れない。あるいはアコースティックらしいから響き合って思わぬ波形が生まれているものなのかも知れない。まったくの当てずっぽうだが。
 手法はともかく、作品は微妙な味わいがあってとても美しい。いたずらに強い押しつけがましさがなくて、見ていて飽きない。前衛的な現代美術にはまったくの門外漢だが、この作品なら自宅に架けてみたいと思わせられた。
 タジマの作品を見るのはこれが二度目。初めは4年前だったか、六本木の森美術館で開催されていたアウト・オブ・ダウト展という現代アートの展覧会だった。その時も、シルクスクリーンや色鮮やかなアクリル板を駆使して壁面いっぱいに流れるように作品が連なっていて、不思議な美しさを醸し出していた。
 新しい材料を発掘し、新しい技術を開発するというのはあるいはタジマのやり方なのかも知れないとも思ったのだった。見当違いかも知れないが。
 一方、もう一つの展示室には、木彫の不思議なオブジェ。胴体を締め付ける拘束具に似ていないこともないが、いずれにしてもこの作品は私には理解の及ぶところではなかった。
 実は、タジマさんは私の友人の娘さんで、お母さんもアメリカ在住の著名な地球物理学者だが、才気煥発ぶりは親子で似たものらしい。母子ともにきらきらした才能がまぶしいほどだが、ミカさんの作品に科学の色彩が感じられるのはそういうこともあるのかと勝手なことを思っていた。