ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

福島交通と飯坂温泉

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(写真1 右が福島交通飯坂線ホームで、左は阿武隈急行のホーム)
奥座敷に向かう小さなローカル私鉄
 このたびの津軽海峡旅行では、途中、福島で下車し、福島交通で飯坂温泉を訪ねた。
 福島交通は、福島市にある小さなローカル私鉄で、飯坂電車とも呼ばれ、飯坂線は福島駅と飯坂温泉駅を結んでいる。全線9.2キロ、駅数は12である。
 福島交通の福島駅は、JR福島駅1番線の外側に設けられた行き止まり1面2線のホーム。ただし、第三セクターの阿武隈急行と共用で、改札口から見て右のホームを福島交通が使用している。なお、JRから乗り換えるなら1番線からそのまま直接連絡しているが、外から乗り込むなら駅ビルの脇に福島交通と阿武隈急行の改札がある。
 9月2日9時12分福島駅発車。2両の電車で、朝夕の通勤時間帯には3両の編成もあるらしい。車両は7000系で、これは東急から譲渡されたもののようだ。なお、近年、1000系の新型車両も投入されているらしいが、往復したものの乗る機会はなかった。若い男性の車掌が乗務していた。
 福島を出てすぐに新幹線の高架をくぐった。4つ目の泉駅で列車交換が行われた。単線なのである。駅間距離が短くて頻繁に停車する。
 地図で見ると、路線は福島市の北方へと伸びていて、福島交通はもともと飯坂温泉への足として利用されてきたのだろうが、車窓を見る限り近年沿線は福島都市圏の住宅地として開けてきている様子だ。土曜日の下りだから列車は空いている。沿線には桃やブドウの樹林が目立った。
 ちょうど路線の中間あたりか、桜水駅には車庫があり、車掌が交代した。再び若い男性だった。医王寺駅で列車交換が行われ、そうこうして9時35分、終点飯坂温泉駅に到着した。わずか23分の乗車時間である。

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(写真2 福島交通の終着駅飯坂温泉駅)
 飯坂温泉駅は、島式1面2線の行き止まりのホームがあるが、急な斜面につくられているせいか、1階のホームから2階に登ると出口で、そこが道路だった。
 駅前がすぐに温泉街となっている。まことに便利が良く、福島の奥座敷と呼ばれる所以である。
  駅の脇に摺上川という川が流れていて、十網橋という橋が架かっている。そのたもとに芭蕉の像があった。川の両岸沿いに温泉街は開けているようだ。東北でも有数の温泉地として栄えてきたが、現在でも60軒の旅館が営業しているというから立派なものだ。
 まだ朝のうちだったのだが、折角の温泉地でもあり、ひとっ風呂浴びに温泉街に足を踏み込んでみた。
 10軒の共同浴場があるようだが、駅からすぐのところに波来湯(はこゆ)という共同浴場があった。開湯1200年という歴史あるものだが、浴場そのものは近年新しく建て替えられたもののようでもなかなか風情ある建物だった。
 清潔な浴場で、源泉は48.8度とあり、さほどの高温でもないが、湯船は二つあり、熱湯が45度の源泉掛け流し、温湯は42度とあったから、熱い湯が好きな私としては迷うことなく熱湯に浸かった。私は温泉好きだから入ってみると湯温が何度かほぼ当たるのだが、この湯船は少々45度には届かなくて、せいぜい43度から44度程度と思われた。それでも気持ちよくてゆったり漬かった。なお、先客が4人いたのだが、誰も熱湯に入っている人はいなかった。泉質はアルカリ性単純温泉だった。

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(写真3 摺上川十網橋上から見た温泉街。正面が共同浴場波来湯)