ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

知床半島と羅臼

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(写真1 峠を越えていったら羅臼の街が雲海に沈んでいた。遠く横たわる黒い島影が国後島であろうか)
望郷の思いも雲海に沈む
 念願の知床岬を探訪したあとは峠を越えて羅臼に泊まった。
 知床岬航路が発着するウトロ港に向けて、岬の付け根にあたる斜里からオホーツク海沿いに国道334号線を進むと、途中、オシンコシンの滝があって、規模はさほどでもないが流れ落ちる水が白糸のように絡まって知床八景と呼ばれる美しい風景を見せていた。
 さらに国道を進みウトロを過ぎて知床半島に分け入っていくと、知床五湖に至った。五つの湖が点在していて、一周するには数時間はかかるらしい。私は木道が敷かれている一湖だけを見物した。ただ、この日は霧が深くて幻想的な佇まいは見せてはいたものの眺望はよくなかった。周囲はクマザサに覆われていて木道がなければ立ち入るのを躊躇したかもしれない。なお、私はここに立ち寄ったのは3度目だが、11年前に来たときには木道はなかったと記憶している。
 知床岬航路を堪能したあとは、ウトロから羅臼に向かった。羅臼は知床半島でウトロのちょうど反対側に当たる。半島の中程に位置しておりウトロから10キロほどの距離。きれいに舗装道路が整備されているが、霧が深くて前方がよく見えない。

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(写真2 知床峠から見た羅臼岳)
 知床峠はいかにも峠の風情があるところ。石碑も霧に霞むほどだが、幸い羅臼岳が見えた。標高が1661メートルあって知床連山最高峰だが山容は穏やかで、鋭いピークを見せていた硫黄山とは対照的だ。
 峠を下っていっても霧は晴れない。幻想的ではあるが、霧が羅臼の街をすっぽり覆っていて、雲海にところどころ山の頂上が顔を出している。遠くに横たわっているのが国後島であろうか。
 翌日の朝にも、羅臼を一望にできる望郷展望台に登ってみたが、霧はますます深くなっていた。ここからは国後島が、根室海峡を挟んでそれこそ指呼の間に見えるのだが、はなはだ残念ながらこの日は隠れてしまっていた。
  羅臼に泊まるのは2度目。11年前と同じ宿にした。羅臼の中心に位置することもさることながら、清潔でおもてなしのいいところが気に入っている。
 宿に着いたときにはすでに夕食時間を過ぎていたので外に食べに出かけた。宿の主人に、うまくて安い寿司屋はないかと尋ねたら、うまいか安いかはともかく、評判のいい店はあるという。宿のすぐそばだった。
 なるほど評判はいいようだ。平日の夜遅くなのにほどよく混んでいる。ネタがいい。新鮮なのは当然か。お通しに出てきた地のものらしいエビがとびっきりうまかった。名前は聞き漏らしたが、やや赤茶色した大ぶりのエビで、おかわりをしたいほどだった。
 これが気に入って刺身を造ってもらった。キンキ、ホッキ貝、ツブ貝、牡丹エビなどとあって、サメガレイのエンガワというのも珍しくもうまかった。
 酒には地のものはなくて、山田錦の大吟醸というものを飲んだが、これはこれで口に良くて、酒と肴がすすんだ。

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(写真3 うまい肴がずらり並んだ刺身の盛り合わせ。右手前がサメガレイのエンガワ)