ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

土屋武之監修『日本と世界の長距離列車』

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長距離列車のうんちくいっぱい
 長距離列車の魅力についてまず次の4つを紹介している。
 魅力①地球スケールの距離=世界一の長距離列車は9259キロのシベリア鉄道「ロシア号」だが、3千から4千キロ台の長距離列車も数多い。
 魅力②個性豊かな客室=バスタブつきの超豪華なものから、日本の客車をそのまま使っているものまで世界の長距離列車は個性豊か。
 魅力③客室での出会いに感動=長距離列車の旅では、相部屋になった人や同じ車両の人、乗務員などとの出会いも魅力の一つ。
 魅力④当たり外れも楽しい食事=その国ならではの食事が楽しめる食堂車、食堂車より安くておいしい弁当、はたまたカップラーメンが食べられる長距離列車まで、食事も旅の魅力の一つ。
 この冒頭の魅力4項目を読むだけで、乗りたくなってもうお尻がむずむずしてくる。
 とにかく、世界の長距離列車、日本の長距離列車のうんちくがいっぱい詰まっている。中には仰天するような列車まであり、取り上げられた列車はその数およそ50本。
 また、①日が暮れない白夜の北極圏をゆくスカンジナビアの夜行、②車中2泊、中国大陸を横断する普通の長距離列車、③懐かしの「あさかぜ」用寝台車が今も活躍するチェンマイ-バンコク14列車の3本は乗車ルポで、臨場感もあって読み応えがある。
 私は随分と列車には乗っているが、数千キロなどという列車には乗ったことがない。パリ-ロンドン間、パリ-アムステルダム間には乗ったことがあるが、せいぜい500キロ程度。最長は、北京-上海だったが、これは普通の列車だったから車中で1泊した。距離は、現在の高速鉄道で計算すると1300キロ程度らしいから、おそらくそれ以上であろう。
 日本国内では随分と寝台車には乗ったが、東京-博多でせいぜい1200キロほど。青森は800キロに満たない。
 ところで、JTB時刻表で2016年夏に、長時間運転列車特集というものをやったことがあって、それによると、普通列車の運転時間ということでは、第1位がJR北海道の根室本線滝川-釧路間を走る列車で、所要時間が8時間21分とある。9時40分に滝川を発車して釧路到着は18時01分になっている。ちなみに営業キロ数は308.4キロ。私もこの区間を普通列車で乗ったことがあるが、途中で2度下車しているから乗り通した記録にはならない。
 なお、JR東海の最長は中央線から飯田線へと跨ぐが上諏訪-飯田間が6時間57分となっている。この区間には飯田から上諏訪へと逆区間になるが乗り通したことがある。
 列車は長距離長時間であればいいというわけではないが、どんなに長い時間であってもおよそ厭きるということはない。(実業之日本社刊)