(写真1 釧網本線車窓から見た流氷)
鉄道車窓風景 選
釧網本線から見た流氷である。士別-浜小清水間。まさしく今ここでしか見られない絶景車窓である。
この風景を見るための必需品が金タワシである。凍りついて曇った窓をごしごしとこすって見えるようにするのである。地元の人が、「なるほど考えたものだ」と苦笑いしている。なお、布製のふきんでは氷は剥がれないことは、厳冬期の北海道を幾度も旅行してわかっている。
釧網本線を釧路から網走に向かい、知床斜里からオホーツク沿岸を走ると流氷が見えてくる。
しかし、流氷は気まぐれで、いつまでも見せてくれない。この時もわずか士別-浜小清水間で見られただけ。あとの区間は沖へ遠ざかっていった。また、この日は網走で流氷船に乗ろうとしたが、流氷に遭遇できない確率が高いというので断念した。
流氷を見たくて何度も汽車に乗った。しかし、上手く流氷に出会えた確率はわずか2割である。暖冬で来なかったり、遅れたりで、紋別でも空振りだった。
間近で流氷を見ると、氷塊同士がせめぎ合ってギシギシと音をたてるが、まるで動物がもの悲しく鳴いているように聞こえる。また、流氷に飛び移って歩きたくなるが、それは自殺行為で、流氷は一時も同じかたちを保ってはいないようだ。(2010年2月13日撮影)