ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

『論語義疏』最古の写本公開

(写真1 会場に展示されていた『論語義疏』の写本) 慶應義塾図書館貴重書展示会 「古代中世日本人の読書」をテーマに丸善丸の内本店ギャラリーで開催されていて、慶應義塾図書館が所蔵する漢籍100点が出品されている。 注目されたのは初公開となった『…

第38回メトロ児童絵画展にぎやかに

(写真1 作品展示の様子) 独創的視点と自由な発想 第38回メトロ児童絵画展(主催メトロ文化財団、協力東京メトロ)の入賞作品が地下鉄銀座線三越前駅のコンコースに展示されている。 8,063点もの応募があったそうで、このうち特選30点、入選70…

映画『パヴァロッティ』

(写真1 映画館に掲示されていたポスターから引用) 世界的テノール歌手の生涯 世界的テノール歌手ルチアーノ・パヴァロッティの生涯(1935-2007年)が描かれたドキュメンタリー映画。実録映像と関係者へのインタビューで構成されている。 冒頭いき…

展覧会『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』

(写真1 会場の国立西洋美術館に掲示されていた看板) 屈指のコレクション来日 この美術館のコレクションは、「ジョットからセザンヌまで」とよく言われるように、中世から近代までの西洋絵画がそろっているのだが、その屈指のコレクションが来日していて見…

曼珠沙華咲く

(写真1 近所の公園で咲いていた曼珠沙華) 彼岸花の別名 曼珠沙華は、彼岸花の別名。 彼岸花には、全国で100ほどもの別名があるそうだ。死人花、幽霊花、捨子花などというものまであってちょっと薄気味悪い。忌み嫌う風潮があって別名をつけたものであ…

宮本輝『灯台からの響き』

何を求めて灯台巡り 旧中山道板橋宿の仲宿商店街で中華そば屋を営んでいた牧野康平は、二人三脚で切り盛りしてきた妻の蘭子が2年前に亡くなると、一人では「まきの」の味は作れないといって休業してしまった。俺のはラーメンではなくてあくまでも中華そばだ…

多摩川線、山口線

(写真1 多摩川線の終点是政駅) 西武線全線に乗る③ 西武線には全部で12の路線があり、このうち、10の路線は、池袋線系と新宿線系の二つの幹線の系統にくくることができる。ただし、残る多摩川線と山口線は、幹線の系統に含めないで独立して扱うことが…

新宿線系

(写真1 西武新宿駅改札口。なかなか親切な行き先掲示板だ) 西武線全線に乗る② 新宿線は、池袋線と並ぶ西武線の幹線の一つ。多くの路線とつながっており、ここでは、新宿線系としてくくってみよう。 新宿線の起点は西武新宿駅。JRや小田急、京王、地下鉄…

池袋線系

(写真1 狭山線の終点西武球場前駅のホーム。柱には所属選手の名前・背番号・写真) 西武線全線に乗る① 西武鉄道は、大手私鉄。旅客営業距離は176.6キロ、東京都北西部と埼玉県南西部に12路線を有する。営業距離では、1位の近鉄501.1キロ、2位の…

秋の果実

(写真1 たわわに実をつけた柿) 実がなって初めてわかる 暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったものだ。朝晩が涼しくなったし、日中の暑さも峠は越したようだ。 朝のウォーキングでは、半袖のTシャツ1枚ではちょっと肌寒いくらいだ。もちろん、歩いているう…

『使える!用字用語辞典』

マスコミ用語担当者がつくった 国語辞典ほどの頻度はないが、用字用語辞典も座右に置いて日常的に使っている。もちろん言葉の意味を調べるためではなく、送り仮名や常用漢字などの、もっぱら確認のためである。 私が書く文章は、小説や詩などの創作ではなく…

高山羽根子『首里の馬』

(写真1 受賞作所収の「文藝春秋」9月号) 芥川賞受賞作 面白い。ただし、エピソードは奇抜。あまり考えすぎると難解になってしまう。しかし、話題はさらりと出てくるが、よくよく考えると意味は深長だ。読みやすいからどんどんと進むと陥穽にはまる。 未…

優雅にコウノトリ

(写真1 飼育中のコウノトリ) 千葉県野田市こうのとりの里 小学生の孫に無類の鳥好きがいて、コウノトリが見たいというので一緒に出かけた。 千葉県野田市にあるこうのとりの里。利根川の流域にあり、江戸川と結ぶ運河にも近いところだった。広大な畑地や…

日暮里・舎人ライナー

(写真1 上り列車とすれ違う見沼代親水公園行き下り列車) 都営のAGT路線 山手線・京浜東北線・常磐線・京成線が接続する日暮里(荒川区)と見沼代親水公園(足立区)を結んでいる。都心からほぼ一直線に北へ伸びる路線で、全長9.7キロ、駅数は13。公営…

ニューシャトル

(写真1 ニューシャトルの路盤と右は新幹線の高架) 埼玉新都市交通伊奈線 埼玉新都市交通のニューシャトルは、ゴムタイヤ方式によるAGT路線。東北・上越新幹線沿線住民への見返りとして建設された。大宮と内宿(伊奈町)の間を結んでいる。路線距離12.…

根尾川と樽見鉄道

シリーズ 川は鉄路の友だち (写真1 樽見鉄道と並行して流れる根尾川) 長良川に劣らぬ清流渓谷美 樽見鉄道は、東海道本線の大垣を出るとどこまでも北上していき樽見に至る。全線岐阜県である。全長34.5キロ、駅数は19。 この間、およそ路線の半分ほど…

最上川と陸羽西線

シリーズ 川は鉄路の友だち (写真1 第一最上川橋梁を渡る列車から見た最上川) 日本三大急流の一つ 最上川は大河である。福島、山形県境の吾妻山に発し、山形県の東寄り中央部を北に進み、新庄付近で西に向きを変えて酒田で日本海に注ぐ。全長(流路延長)…

渡良瀬川とわたらせ渓谷鉄道

シリーズ 川は鉄路の友だち (写真1 右に左にと車窓に続く渡良瀬川) 美観異観織りなす 渡良瀬川は、利根川の支流。栃木、群馬県境の皇海山から足尾を経て利根川に合流する。流域は栃木、群馬、茨城、埼玉にまたがる。延長107.6キロ。 わたらせ渓谷鉄道は…

釜山の影島灯台

シリーズ 世界の岬と灯台紀行 (写真1 遠く対馬を望む影島灯台) 対馬を望む太宗台 影島(ニョンド)は、釜山湾の島。釜山港を形作っている。釜山大橋や影島大橋などで釜山市街地と結ばれている。 影島の南端にあるのが太宗台(テジョンデ)。広大な公園に…

遼東半島突端老鉄山灯塔

シリーズ 世界の岬と灯台紀行 (写真1 堂々たる老鉄山灯台) 渤海と黄海の分界線 遼東半島は、中国東北部遼寧省の南部、黄海と分かつように渤海に突き出ている。かつて、満州国があった時代、日本が関東州といってこの地域を支配していたことがある。 半島…

ユーラシア大陸最西端ロカ岬

シリーズ 世界の岬と灯台紀行 (写真1 ロカ岬灯台のあるロカ岬) ここに地終わり海始まる ユーラシア大陸をどこまでも西へ進んだ端っこがポルトガルのロカ岬である。イベリア半島であり大西洋に面する。 ロカ岬へはポルトガルの首都リスボンから鉄道とバス…

今野敏『棲月 隠蔽捜査7」

竜崎伸也 大森署署長最後の事件 本作は、竜崎伸也を主人公とする警察小説のシリーズ長編7作目。大森署署長としては最後の事件となった。実は、私自身は、竜崎が大森署を去って神奈川県警刑事部長に着任した『清明 隠蔽捜査8』はすでに読んでいたから、シリ…

長良川と長良川鉄道

シリーズ 川は鉄路の友だち (写真1 清流に寄り添って進む長良川鉄道=2012年9月8日) 日本三大清流の一つ 長良川は、福井、岐阜県境に近い大日ヶ岳に発し、濃尾平野を流れ、途中、揖斐川と合流し伊勢湾に注いでいる。三重県、愛知県を経ている。全長1…

錦川と錦川鉄道

シリーズ 川は鉄路の友だち (写真1 どこまでも右窓に錦川が続く錦川清流線。路線名に恥じない素晴らしい景観=2017年5月25日) 錦川と並行する錦川清流線 川は鉄路の友だちということでは、錦川に沿って走る錦川鉄道は代表例だ。路線名が錦川清流線…

絵本『がんばれ!あかい しゃしょうしゃ』

アメリカの絵本 遊びに来ていた孫を連れて行った本屋で、車掌車を描いた絵本を見つけた。海外の絵本を揃えたコーナーだったのだが、〝しゃしょうしゃ〟の文字が目に入った。手には取ったものの、買うかどうかについては多少の躊躇がなかったわけでもなかった…

江の川と三江線

シリーズ 川は鉄路の友だち (写真1 いつまでも左窓に江の川が続く) どこまでも左岸に鉄路 鉄道は川沿いに走っている場合が多い。ただ、川は鉄道にはお構いなしに自然の地形に沿って流れているから、川に沿えなくなると線路はトンネルで抜け、橋で渡る。 …

四万十川と予土線

シリーズ 川は鉄路の友だち (写真1 予土線車窓の名物は四万十川にかかる沈下橋) トンネルと鉄橋の連続 川は鉄路の友だちである。 鉄道は川に沿って敷かれている。川は自然の地形に沿って流れているから、川に沿えなくなると、線路はトンネルで抜け、橋で…

夏のユリ

(写真1 タカサゴユリ) 凜として美しく コロナが流行しだしたころは、専門家の解説では、コロナは暑さに弱いといっていなかったか。だから、夏になれば下火になるといい、第二波は晩秋に来るとも。しかし、感染者数だけからすればすでに第二波が訪れている…

九州最東端鶴御崎

シリーズ 灯台慕情 (写真1 高台から遠望した鶴御崎と鶴御埼灯台) 豊後水道の入り口 太平洋から瀬戸内海を目指して九州東岸を北上してくると、鶴御崎(つるみさき)は豊後水道の入り口にあたる。豊予海峡は大きくは豊後水道に含まれるが、このあたりはすで…

江差線江差駅

シリーズ 駅 情景 (写真1 ありし日の江差駅=1991年6月29日) 廃線になった終着駅 江差線は、五稜郭駅と江差駅の間79.9キロを結んでいたJRの路線(ただし、すべての列車は函館発着)。このうち、木古内-江差間は2014年に廃線となり、江差駅…