ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

盛岡逍遙

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(写真1 町家が並ぶ鉈屋町界隈)

落ち着いた佇まい

 三陸からの帰途は盛岡に寄った。三陸からの帰途には毎年盛岡で途中下車しており、昨年はコロナのこともあってそもそも三陸に出かけなかったので今年は2年ぶり。
 盛岡では短い滞在時間だし何ほどのものもないのだが、好きな街だし、市街中心部をぶらぶらと歩いてきた。観光客でもないしどこに行きたいなどということもないから、それこそ足の向くままというところ。
 盛岡は南部藩二十万石の城下町。歴史ある街並みがあちこちで見つけることができる。北上川に架かる明治橋にもほど近い、鉈屋町界隈はじっくり散策したいところ。このあたりは奥州街道や宮古街道の盛岡への玄関口にもなったところ。舟運によってさらに開けた。ただ、この日はあいにくの雨。それだけに静かな佇まいが感じられた。通りには盛岡町家といわれる格子窓の情緒ある家並みが続いている。町家を改造したカフェもあちこちで見かけた。

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(写真2 大慈清水の様子)

 この途中に、大慈清水というのがあって、湧水がこんこんと湧き出していた。住民共用の井戸で、流れは3段になっていて、最上段の飲料水から米とぎ場や洗濯場などとなっている。
 水をくんで一口飲んでみたら、この日は手がかじかむほどの寒さだったのだが、水は驚くことにぬるく感じられるほど。角のない丸みを帯びた水で、とてもやわらかい。最高の軟水であろう。
 この水を利用したせいであろうが、この界隈には醸造元が多い。「あさ開」の蔵に寄って試飲したが、とてもまろやかで吟醸酒にふさわしいものだった。盛岡は酒どころだが、この水に米があって南部杜氏として知られる技術が相まって評判の酒が生まれているものであろう。
 ぶらぶら歩いているうちに肴町界隈。盛岡の中心だが、驚いたことにバスセンターが消えていた。県下各都市と結ぶターミナルとなっているところだが、どうやら老朽化に伴って建て替えを行っているものらしい。

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(写真3 喫茶店車門の外観)

 肴町のアーケード街に入っていくとほどなく「車門」という喫茶店。盛岡に来ると必ずというほどに寄っているのだが、蔵をそのまま利用した建物もいいし、コーヒーもうまい。
 内部には、地元出身のアーティストたちの作品が展示されているのだが、その一つに舟越保武の<若い女>。彫刻家舟越にしては珍しくこれは銅版画である。舟越が理想としたという清楚な女性が描かれている。実は私もこの絵は持っていて、エディションナンバーは私所有のものの方が若い。

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(写真4 舟越保武<若き日の石川啄木>)

 車門を出てすぐにもりおか啄木・賢治青春館。地元に縁の深い石川啄木と宮澤賢治の生涯を顕彰したものだが、ここで興味を引いたものが舟越保武の<若き日の石川啄木>という作品。ブロンズ像で、若い啄木を彷彿とさせる。

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(写真5 中の橋上から見た中津川)

 ここを出るとすぐに中津川。街の中心を流れる清流で、鮭が遡上して来るいうほど。この中津川に架かる中の橋のたもとには、左岸に岩手銀行の建物。レンガ造の由緒あるもの。

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(写真6 岩手銀行)

 また、右岸にはかつては第一画廊という名の画廊があったものだが、無くなっていた。また、ここには画廊の喫茶室という様子で「舷」という喫茶店があったものだが、これも同時に消えていた。
 なお、このそばには舟越保武の<杏>が中津川に面して立っていた。やはり盛岡か、ちょっと歩いただけで舟越に会える。舟越ファンとしてはとてもうれしいこと。

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(写真7 舟越保武<杏>)