ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

南薫造展

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(写真1 展覧会のチラシから引用)

没後70年大回顧展

 東京ステーションギャラリーで開かれている。
 南薫造(1883-1950)は、明治末から昭和にかけて活躍した洋画家。ただ、印象派の画家として評されてきたものの、これまで大規模な回顧展が開かれたこともなく地味な存在だった。
 画業は、油彩から水彩、木版画などと及んでいて、展覧会には200点を超す作品が展示され、南の画業の全体像がわかるような内容だった。
 作品は、制作年代順に展示されていて、私もその順路に沿って見ていったが、初めに注目したのは<自画像>(1907)。美校(現・芸大)の卒業制作で、気負いのない自画像に感心した。この芸大の卒業制作として義務づけられている自画像は、若き画学生たちの人生観、将来像が浮き出ていて面白いものが多く、中には肩を怒らすもの、挑発的な顔貌といったものも少なくないのだが、南の自画像にはある種の柔らかさというものが感じられた。
 全般にやさしい印象の作品が多くて、見てて激しい屈託を感じさせるようなものも少なくて派手さはないものの好印象の残る作品群だった。
 イギリス留学時代の作品にいいものがあったようだし、油彩のみならず水彩にこそこの画家のやさしさが表れていたようにも思えた。

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(写真2 南薫造<夕に祈る>=会場で販売されていた絵はがきから引用)

 印象深かったのは<春(フランス女性)1908ごろ>のほか、<夕に祈る>(1908)は物思いにふけっているのか、高い精神性が感じられたし、<少女>(1909)は、手紙でも書いているのか、背中越しにも少女の清純な美しさや優しいたたずまいが感じられた。

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(写真3 南薫造<少女>)