ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

越美北線九頭竜湖駅

シリーズ 行き止まりの終着駅

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(写真1 越美北線の終点九頭竜湖駅=1993年6月27日)

越美国境越えられず

 鉄道の路線名は、鉄道の成り立ちを背景に決められる場合が多い。釜石線や長崎本線などのように終点の駅名を取ることも多いし、起点終点の旧国名や駅名を組み合わせる場合も少なくない。予讃線は伊予と讃岐を結ぶからだし、米坂線は米沢と坂町が起終点の駅名。
 しかし、当初の建設計画が頓挫したりして路線名だけが残ってしまったような場合もある。名松線は、そもそもは松阪と名張の間を結ぶ計画だったのでこの路線名がつけられたのだが、種々理由があって伊勢奥津で打ち切られたが、しかし、路線名はそのままに今日に至っている。
 北線、南線と名のついている路線はちょっとややこしい。越美北線は福井県内(旧越前国)だけを走っているのになぜ越美なのか。
 この路線は、そもそもは福井(旧越前国)と岐阜県の美濃加茂(旧美濃国)の間を結ぶ計画だった。それで越美線である。福井側、岐阜側双方から工事が始められたのだが、途中で、越美国境を越せずに中断しそのままになってしまった。岐阜側は、越美南線として美濃加茂-北濃間が開業、福井側も福井-九頭竜湖間が越美北線として開業した。当初は、この北濃-九頭竜湖間には連絡バスが走っていて、越美線全線での運転に執着を示していたそうである。その後、越美南線のほうは第三セクターの長良川鉄道に移管されてしまった。
 さて、越美北線のこと。線区上は、越前花堂-九頭竜湖間だが、すべての列車は福井発着である。全長52.5キロ、駅数22。全線を通して運転される列車は4本のみで、残りは越前大野止まりが5本、あるいは越前大野-九頭竜湖の区間運転が1本となっている。
 福井から乗ってくると、越前大野で乗客はごっそりと降りた。越前大野は沿線中随一の都市である。越前の小京都と呼ばれる美しい町。ここでそばを食べたことがあるが、おろしそばは口がひん曲がるかと思われるほどに辛かった。長いトンネルを抜けると終点の九頭竜湖だった。

 

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(写真2 九頭竜湖駅ホーム)

 九頭竜湖駅は、片側1線のホームに、ログハウス風のしゃれた駅舎。地元の観光物産館も兼ねていた。実は、この駅に降り立つのは1993年と2015年の2度あって、20数年も置いて印象がまったく変わっていなかったことに驚いた記憶がある。
 そして、この駅では、帰途の昼食用にと思い、特産のマイタケ弁当を買ったのだった。2度目の際にも、それがとてもうまかったからだが、あの弁当は今でも売っているものかどうかと九頭竜湖に着く前から期待して行ったらなんとまったく同じ弁当が売られていたことにはとてもうれしかったものだった。

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(写真3 2015年3月19日当時の九頭竜湖駅)

 九頭竜湖駅からは九頭竜湖までは約6キロ。初めて降り立った際には湖まで自転車を借りて訪れてみたのだった。なお、九頭竜湖は、九頭竜川のダム建設によって生じたダム湖(人造湖)である。

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(参考 九頭竜湖の様子=1993年6月27日)