ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

金沢の大野灯台

f:id:shashosha70:20201114161400j:plain

(写真1 大野川にかかる大野大橋上から見た大野灯台)

四角い姿のいい灯台

 先週は富山から金沢へと旅行した。晩秋の北陸は久しぶり。特に金沢などは大変なにぎわいぶりだった。
 金沢では大野灯台を訪ねた。大野灯台は、金沢市街の北、金沢港に建つ灯台。金沢港は日本海に面し大野川の河口に開けた港湾で、北前船の時代、日本海航路の重要な港として栄えてきた。現在は、大野港と金石港とを統合した港として大型貨物船が寄港する岸壁などがあり、このうち大野川に入り込むように設けられた大野岸壁は漁船が横付けされている。
 大野灯台には金沢駅付近から北鉄バスが出ている。停留所は中橋バス停といい、金沢駅から徒歩5分ほど、JR線の西金沢寄りのガード下にある。バスの本数は少なく、十分に時刻表を吟味しておく必要がある。

f:id:shashosha70:20201114161457j:plain

(写真2 漁港の奥に遠望する大野灯台)

 大野港または大野行きバスに乗車、約30分ほど。大野港も大野もバス停はほんの数分離れているだけでごく近い。バス停からは大野川に向かって歩き出すとすぐに橋があり、その手前を河口に向けて歩けばよい。橋の上からは灯台はもう見えている。バス停から灯台まで10分弱。川沿いには多数の漁船が係留されている。
 白くとても姿のよい灯台で、すらりとしている。高さが26メートルもある。灯台を築いた場所がさほど高くもなかったので、灯塔を高くしたのであろう。灯台を解説する看板によれば、8階建てのビルに相当する高さで、昭和28年当時は金沢港のシンボルタワー的存在だったという。
 四角い塔形というのは珍しい。円形が大半だから、四角は数少ない。三重県の安乗埼灯台が有名で、利尻島の沓形岬灯台がそうだった。沓形岬灯台は白地に赤の横帯1本だった。通りがかったおじさんが、私がパチパチと写真を撮っていたら、四角は珍しいだろうと自慢げだった。
 また、このおじさんによれば、この灯台は、そもそも地元の船主が魚油を焚いて灯台の灯りにしたのが始まりだったと話していた。その後、昭和9年3月1日に航路標識として公認されたが、この日をもって初点灯としている。また、現在の灯台は昭和28年に建て替えられたもの。
 灯台は、大野川の川岸近くに建っており、海側は築港工事であろうか、多数のダンプカーが出入りをしていた。海が遠くなって灯台の役目に影響はないものだろうかと心配になったものだった。
 灯台のすぐ隣は大きな醤油工場で、沿岸灯台というにはやや風情にかけるが、日本の灯台50選の一つである。この50選の中では、高さでは大野灯台が6番目である。おそらく高さと姿形の良さで選ばれたものであろうか。

f:id:shashosha70:20201114161548j:plain

写真3 海側から見た灯台全景)

<大野灯台メモ>(灯台表、現地の看板、ウィキペディア等から引用)
航路標識番号[国際標識番号]/1091[M7232]
位置/北緯36度36分58秒 東経136度36分10秒
名称/大野灯台
所在地/金沢市大野町
塗色・構造/白色塔形、コンクリート造
レンズ/LB-H120型
灯質/単閃白光 毎秒10秒に1閃光
実効光度/97万カンデラ
光達距離/16.5海里(約31キロ)
塔高/26.40メートル
灯高/34.34メートル
初点灯/1934年(昭和9年)3月1日
管轄/海上保安庁第九管区海上保安本部金沢海上保安部
備考/日本の灯台50選