ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

『使える!用字用語辞典』

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マスコミ用語担当者がつくった

 国語辞典ほどの頻度はないが、用字用語辞典も座右に置いて日常的に使っている。もちろん言葉の意味を調べるためではなく、送り仮名や常用漢字などの、もっぱら確認のためである。
 私が書く文章は、小説や詩などの創作ではなくてあくまでもブログの記事。難しい言い回しや普段遣われることの少ない漢字などは極力避けている。だから、用字用語辞典も新聞社発行のものを使っている。
 このたび刊行された用字用語辞典は、全国紙の校閲担当者ら日本新聞協会新聞用語懇談会のメンバーが執筆したもの。
 つまり、用字用語の基本は、新聞社発行の用字用語辞典と同じなのだが、構成が随分とユニーク。私が使っている新聞社発行の用字用語辞典では、用字用語を中心に漢字表や外来語で構成され、それぞれが独立して載っている。他に資料として、誤りやすい用字などが収録されている。
 これに対し、本書は、同じマスコミ系の用字用語辞典ながら、用字用語も、カタカナ語も、あるいは芸能人の人名や会社名、国内に限らず世界の地名までもが、すべて五十音順に配列されている。しかも、それぞれの用語の簡単な意味までもが付されている。
 言わば、用字用語辞典に現代用語事典、簡単な国語事典までもが一冊にまとめられている。収録されている見出し総数は1万4524にのぼっている。このため、総ページ数は約900にも及んだ。
 しかし、これが便利かというと、ひとくくりにはできなくてそれぞれの使い方によるのだろうと思われる。オールインワンがいいという人には向いているのだろうが、私のように、用字用語常用漢字だけを確認したいだけの者にとっては、見出し語の数が多すぎてはなはだ使い勝手が良くない。どだい、例えば、四国銀行頭取の名前なんて確認を必要とする人はどれほどいるのであろうか。山元という名字例として出したのだろうが、ここまで含めると便利さよりも煩瑣さが先に立つ。

 なお、この「煩瑣」は本書では「煩雑」に置き換えろと用例を指摘している。しかし、私は新聞記事を書いているわけでもなし、適当なボキャブラリの広がりは文章の味わいにもなることだし、大目に見てもいいのではないかと思っている。

 まあ、辞書はそれぞれに良さがあるもの。もう少し使ってみよう。
(三省堂刊)