ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

長崎次郎書店

f:id:shashosha70:20200226142924j:plain

(写真1 電車通りに面した長崎次郎書店)

熊本のレトロな書店と喫茶室

 長崎次郎書店は、熊本にある老舗書店。創業明治7年(1874年)とあり、熊本で最も古い本屋らしい。いくつか変遷はあったらしいが、140年を経て今に至るも続けられているというのが素晴らしい。
 市電で、A系統B系統分岐の辛島町でB系統上熊本行きに乗り三つ目新町下車すぐそば。ここで市電は右に大きくカーブしている。中央区新町四丁目所在。
 現在の建物は大正13年(1924年)建築で、スクラッチタイル張りというのであろうか、クラシックな外壁が特徴。保岡勝也設計。国登録の有形文化財にもなっていて、とてもレトロだが、モダンな洋館にも思える。

f:id:shashosha70:20200226144836j:plain

(写真2 書店内部)

 玄関を入ると正面に雑誌が置かれ、右に回ると文芸書や地元関連の棚。なかなか吟味され工夫された棚造りで、書名を追っていくと独特の品揃えで、店主の個性が感じられる。本好きには共鳴できるのではないか。単に新刊本を並べておいたというのでは全くないのである。限られたスペースに店主が選び抜いた本が並んでいるのだが、かといって押しつけがましさは全く感じられない。
 私は旅先で本屋に入ることは度々だが、しかし、実際には本を購入することは抑えている。旅の途中で荷物が増えることを嫌うからだが、それでも、地元ならではの本だったり珍しいものを見つけると買っておく。
 じっくりと棚を見ていって、ふとある本に目は留まった。1年前に発行された文芸書で、発行当時すぐに評判になったが、なぜか買いそびれていた。それこそ旅先で買うような本でもなく、文庫にでもなれば買うだろうが、このたびは店主に背中を押されたようについ購入したのだった。
 それで気がついたこと。とてもサービスでつけてくれるカバーが良いのである。しかも、このカバーの掛け方がよくよく工夫してあって、本を開くと表紙の裏に当たる部分に書店名や住所、電話番号に店のロゴが小さく収まっていて、とてもしゃれていて感心させられた。
 店内を一回りして最後、つまり玄関から入ってすぐ左には児童書のコーナーがあり、棚は低く、平台は広くあつらえられている。幼児でも手が届くようにとの配慮だが、この日は、小さな女の子が絵本を読んでいて、乳母車を押したお母さんは雑誌を手に取っていた。

f:id:shashosha70:20200226151516j:plain

(写真3 長崎次郎喫茶室内部)

 書店の建物の2階は喫茶店になっている。長崎次郎喫茶室。創業平成26年とある。
 店内は窓が大きくとられとても明るい。天井の太い梁がむき出しに黒光りしている。ゆったりとテーブルが配置されていて、落ち着いたたたずまい。
 窓際の席を選んだが、この席からは電車が往来している様子が見られる。これはいい。うまいコーヒーをいただきながら本を読む。時折電車を眺める。至福の時だ。
 コーヒーは、注文に応じて1杯ずつ豆をひきドリップしていた。深い味わいだったが、ケーキとの取り合わせも良かった。店のオリジナルなそうで、醤油味のシフォンケーキで珍しいものだった。コーヒー660円、ケーキセット1,100円。

f:id:shashosha70:20200226153039j:plain

(写真4 喫茶室の窓からは電車が見える)