ABABA’s ノート

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アーティゾン美術館オープン

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(写真1 展示室の様子)

ブリヂストン美術館がリニューアル

 近代西洋絵画のコレクションで知られる京橋のブリヂストン美術館が、全面的に建て替えられて館名も新たにアーティゾン美術館としてこのたびリニューアルオープンした。
 建築地は以前の通りで、東京駅八重洲口から徒歩5分。23階建てミュージアムタワー京橋の低層6階部分が美術館となっている。4-6階が展示室で、展示スペースは旧来の倍になったようだ。

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(写真2 ガラス張りの吹き抜けで明るい館内)

 中央通りに面した入り口から入ると、1-2階が全面ガラス張りの吹き抜けになっていてとても明るい。1階がミュージアムカフェ、2階がミュージアムショップになっていて、3階のメインロビーから6階までエレベータで一気に運ばれる。6階から4階へと下るように順路が組まれている。
 6階の展示室に入ると、西洋絵画がずらり並んでいる。ピサロ、マネ、ドガ、セザンヌ、モネ、ロダン、ルソー、カサット、カイユボット、ゴーガン、ロートレック、カンディンスキー、ボナール、マティス、ピカソなどと枚挙にいとまがないほどで、日本人画家も藤島武二、青木繁、藤田嗣治、安井曾太郎、岡鹿之助、関根正二などとあり、いやはやまさしく西洋近代絵画を概観できる内容だ。ブリヂストンの創業者であり美術館の創設者である石橋正二郎のコレクションの素晴らしさには感嘆するばかりだ。
 5階に下りると、佐伯祐三があり、モディリアーニ、黒田清輝、レンブラント、国吉康雄、古賀春江などと続き、4階には岸田劉生、松本竣介、中村彝などとあって、いずれにしても私の好きな分野のコレクションが多くて堪能できた。
 200点を超す展示作品の中で気に入ったのは、セザンヌ「帽子をかぶった自画像」、ピカソ「腕を組んですわるサルタンバンク」、ルオー「郊外のキリスト」など。
 これらはブリヂストン美術館からそのまま引き継いだもののようでこれまでも何度も見ているが、久留米市の石橋美術館で見ていた青木繁の「海の幸」(重文)や藤島武二「チョチャラ」なども来ていた。ブリヂストン美術館と石橋美術館はともに石橋財団の姉妹館みたいなものだろうから、これらは開館記念展のために臨時に出張してきたものであろうか。
 また、アーティゾン美術館では、このたびのリニューアルオープンに合わせ、従来のコレクションに加え、新しく購入したコレクションを多数投入したようで、特に現代美術のコレクションが充実されていた。

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(写真3 松本竣介「運河風景」)

 なお、気に入った作品の中に、松本竣介「運河風景」、アンドレ・ドラン「自画像」があったが、これらは私の知る限りこれまでどちらの美術館でも見かけたことはなかったから新たにコレクションに加えられたものであろうか。
 特に「運河風景」(1943)は、かつては大川美術館寄託の個人蔵のものだったと記憶しており、素晴らしいコレクションが加わったものと感心している。
 展示作品が充実していて、一通り見て回ろうとするだけで2時間は要した。これなら途中に休憩できるカフェが簡単なものでもよいからほしいと思った。ちなみに、1階のカフェは退室した後でないと入れないようだった。再入場はどうなっているかわからないが。
 この美術館では新しい試みがいくつかなされていた。その一つが、日時指定予約制の導入。希望する日時をあらかじめウエブサイトで予約しておく仕組み。料金も前払いになる。これなら、入館者が殺到することもないだろうからゆったりとみられる。
 実際、平日の昼下がりだったのだが、会場はすいていると感じたほどで、とても良かった。なお、念のためと思って、受付で当日のチケット購入を尋ねたら、この日については余裕があり入館可能だということだった。入場料は1,100円。
 また、うれしかったことは、作品の写真撮影が許されていたこと。自前のコレクションの展示だからできたことではあろうが、欧米の美術館では当たり前のことが、日本の美術館では制限しているところが少なくないからとても画期的に思われた。
 作品の解説にしても、スマートフォンのアプリケーションによる無料の音声ガイドが提供されていて、とても親切な仕組みだと思われた。年配者には難しいだろうが、合理的ではある。

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(写真4 アーティゾン美術館外観)