ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

八戸というところ

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(写真1 八戸ブックセンターの店内)

ユニークな八戸ブックセンター

 このたびの北東北の旅では八戸に泊まった。
 八戸市は、青森市、弘前市と並んで青森県主要3市の一つで、太平洋に面し、名だたる漁港で知られるほか、工業都市でもある。県庁所在地である青森や、かつての津軽藩城下町であり大学町である弘前とは大きく異なる。もう一つ違うのは、旧国が弘前、青森が津軽藩であるのに対し、八戸は旧領が南部であり、八戸南部の城下町であること。
 八戸の市街中心は八戸線の本八戸駅が最寄り駅。駅前の高台に登ると、城址や市役所などへとつながっている。繁華街はその高台を下ったあたりになっている。
 東北新幹線や青い森鉄道(旧東北本線)、八戸線などが接する現在の八戸駅は、かつては尻内駅と称した。八戸駅-本八戸駅は八戸線上にあり、本八戸は八戸から二つ目、5.5キロ離れている。このたび地元でタクシーに乗ったら、運転手は「本来は新しくできた駅は新八戸でしょう。新横浜だってそうだし。それを本来の八戸が譲って本八戸だなんてきいたことがない。のんびりしているんですよ、ここは」と憮然としていた。
 泊まったホテルが市街中心にあったので、夕食がてら繁華街を散策した。かつては市の立ったところが多かったようで、街路名に八日町、三日町、六日町、朔日町などとあった。

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(写真2 八戸の商店街)

 ぶらぶら歩いていて気になったのは六日町というところにあった八戸ブックセンターという書店。何と市営なのである。これは珍しい。
 繁華街のしゃれたビルの1階に店舗はあり、立地は最高。店内は明るく、カウンターでは飲み物も売っている。
 棚はゆったりと組まれている。どう生きるか、愛すること、考える、いのり、世界、日本などとあって棚の配置はユニークで、一般の書店になれていると面食らう。探したい本がすぐには見つからない。
 そもそもここにはベストセラーの棚もないようだし、雑誌すら置いていない。店内は逍遙するように歩きまわり、気になる本を手に取らせるというコンセプトのようで、倚子や読書ルームなどもあって飲み物を手に持って本を読んでみるという仕掛けのようだ。
 つまり、本との出会いを大事にするということのようで、本の配置だけで見たら大手書店グループの蔦屋書店に似ている。あるいは蔦屋をもっと徹底したということだろうか。
 岩波新書の新刊を問い合わせたら、置いていないということだった。つまり、買いたい本が決まっているなら一般書店に行きなさいということなのだろう。公営だから、一般書店との競合を避けたということでもある。
 然らばということで、私が今年1年で読んだ本の中で最も気に入った植本一子『フェルメール』(ナナロク社)はどうかと思い調べてもらったがこれもなかった。
 この日は土曜の夕方6時半頃だったが、店内に客の姿はちらほらする程度だった。随分と経営は厳しそうだったが、そのように店員に話しかけると、「それでも構わないのだ」ということだった。
 そう言えば、これもタクシー運転手の話に「(八戸ブックセンターは)八戸市民は誰も行かない本屋」というのがあったが、なるほどと苦笑いしたものだった。
 この後は寿司を食べたいと思って周辺を探し回ったが、適当な店は見つからなくて、結局居酒屋に入った。居酒屋になどは日頃入ることのない家内にしてみれば、初め物珍しそうにしていたが、刺身や魚にいいものがなかったし、うまいものがなくて不満そうだった。港町ということで期待していたのにこれは意外で残念だった。ただ、飲んだ酒「豊盃」はうまかった。弘前の酒らしいが、青森といえば「田酒」がポピュラーで、同じ弘前ならば「じょっぱり」が好みだが、これもいけると思われた。

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(写真3 本八戸駅)