ABABA’s ノート

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金子三勇士ピアノコンサート

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(写真1 開演前の会場の様子)

新しい時代をつくるクラシック

 12月2日新宿文化センター大ホールで開催された。
 金子三勇士(かねこみゆじ)は、人気の若手ピアニスト。群馬県高崎市生まれ30歳。父日本人、母ハンガリー人。バルトーク国際ピアノコンクール優勝ほか数々の国際コンクールで優勝の輝かしいキャリアを持つ。東京音大首席卒業。
 この日の演奏会は、住友生命のチャリティコンサートとして開催されたもので、私は初めてだったが、すでに33回、全国縦断1058回の公演を数えるらしい。
 新しい時代をつくるクラシックとタイトルがつけられており、とても親しみやすい曲が選ばれていた。また、演奏スタイルも斬新で、ピアニスト自身がユーモアたっぷりに進行役を兼ねながら曲の解説をしたりしてとても和やかなものだった。
 演目は、初めに革命のエチュード、夜想曲「遺作」、子犬のワルツとショパンの3曲、ドビュッシー「月の光」、ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」と続いた。「月光」は新しい解釈によるものなそうで、なるほど、慣れ親しんだ曲想とは異なっていた。
 休憩の後、バルトークのピアノソナタ。バルトークはハンガリーのピアニストであり作曲家。難曲と解説していたが、ピアノが壊れるのではないかと心配になるほどの激しい曲を圧倒的迫力で演奏していた。
 次からリストが3曲。リストもハンガリーのピアニスト、作曲家。シューマン=リスト「献呈」、「愛の夢」と続き最後は「ラ・カンパネラ」。あまりにも有名な曲で、私でも口ずさむことができるほどの美しいメロディで始まり、金子の演奏は聞き惚れるほどのすばらしい演奏だった。
 ところで、前半の演奏では何か落ち着かなさを感じていたが、休憩時間中に調律が行われていたから、あるいは演奏家から注文があったのかもしれない。私自身はコンサートの経験も少ないから何とも言えないが、演奏の途中で調律を行うというのはピアノでは珍しいのではないか。ピアノはスタインウエイだった。