(写真1 コッド岬のしおり)
しおりに岬の灯台
友人がアメリカ旅行の土産にコッド岬を描いたしおりをくれた。もとより、私が灯台好きと知ってのこと。
しおり(タテ18センチ×ヨコ5センチ)には、3基の灯台が描かれているほか、裏面にはコッド岬と灯台を紹介する簡単な文が載っている。
コッド岬とは、アメリカ東北部マサチューセッツ州にある大西洋に面した半島。右上腕を曲げて力強く掲げたような独特の地形で知られる。ケープコッド湾を囲んでおり、対岸にはプリマスがある。半島の先端にあるプロヴィンスタウンまでボストンからバスで約3時間であり、温暖な気候から観光地として人気がある。
コッド岬周辺は浅瀬のため危険な海域とされ、このため付近の諸島まで含めると20基もの灯台があるようで、半島内だけでもハイランド灯台、ノーセット灯台、チャタム灯台、レースポイント灯台、ノブスカ灯台があるようだ。
これらのうちしおりに載っている3基の灯台はいずれもケープコッド国立海浜公園にあり、上から順に、まずハイランド灯台。1797年に建設されたコッド岬最古の灯台で、現役の灯台であり、春から秋までのハイ・シーズンには内部が公開されているという。白い塔形で付属舎がある。
2段目がノーセット灯台。上部が赤、下部は白に塗色された塔形の灯台のようで、初代のものは1887年に建設されたとしおりにある。鋳鉄と煉瓦造らしい。
下段はレースポイント灯台。プロヴィンスタウンにあり、初代のものは1816年に建設された。白い塔形をしており、付属舎には宿泊もできるようだ。灯台は現役のようだから、日本では想像もできないことでなかなか面白い。
ところで、コッド岬については、私はかねてソローの『コッド岬』(工作社)を読んで知っていた。もとより名作『森の生活』で知られるヘンリー・デイヴィッド・ソローによる1850年前後にコッド岬を訪ねた旅行記だった。
もう25年ほども前になるか、私は飯島実訳で読んだのだが、ソローらしいといえばそうも言えるが、コッド岬の自然や人々の生活が実に詳細に記されていて、これが旅行記かと驚いた記憶がある。
あらためて書棚から本書を引っ張り出してみると、表紙カバーには、岬の突端に立つ灯台が描かれている。今にしてみれば、この灯台はレースポイント灯台であろうか。また、本文では、ハイランド灯台について、「鉄の冠に似た屋根を戴く、白塗りの、見るからに堅固なレンガ造りの建物だった」と表現している。
コッド岬は、アメリカでは、岬好き灯台ファンにとってはフロリダ半島の先端キーウエストと並んで是非にも訪れてみたいと思うところ。しおりを手にしながら一度は訪れる機会はあるものかと夢想している。
(参考=ソロー著『コッド岬』)