ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

四日市あすなろう鉄道

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(写真1 分岐駅日永駅。手前が1番線内部行き列車で、奥が3番線四日市行き)

生活の足ナローゲージ

 これは珍しい軌間762ミリのナローゲージ(狭軌)の鉄道である。内部線と八王子線の二つの路線があり、このうち、内部線はあすなろう四日市駅から内部駅間5.7キロ8駅を結んでおり、八王子線は、内部線の途中、日永駅から分岐し一駅1.3キロ西日野駅間を結んでいる。
 そもそも、四日市あすなろう鉄道とは、元は近鉄の路線だったもので、近鉄の廃線表明に対し、四日市市が存続を求めて四日市市と近鉄が設立した第三セクター企業で、四日市市が第三種鉄道事業者として路線を保有し、四日市あすなろう鉄道が第二種鉄道事業者として運行している。いわば、公有民営方式の鉄道。会社名の、あすなろうとは、明日に向けてとナローゲージを結びつけた造語。

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(写真2 あすなろう四日市駅10番線で発車を待つ西日野行き列車)

 あすなろう四日市駅は、近鉄四日市駅の改札外1階に位置し、1面2線のホーム。番線は近鉄からの連番で、9番10番。
 内部行きと西日野行きの列車が交互に出ているようで、まずは10番線から西日野行きに乗車。土曜の夕方だったのだがまずまずの乗客。
 沿線は住宅地。乗客は通勤通学と買い物客が大半。ナローゲージだから車内はやや狭い。前向きの座席が2列に並んでいる。清潔な車両だ。

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(写真3 西日野駅)

 わずか8分で終点西日野到着。八王子線は四日市から4駅3.1キロの区間である。
 すぐに引き返して日永に戻った。内部線との分岐駅で、2面3線のホームがあり、片側1線の1番線が内部行き。島式ホームの2番線が四日市行きで、3番線は八王子線の上り下り。日永を出るとすぐに右にカーブするようになっている。

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(写真4 内部駅で発車を待つ折り返し列車)

 すでに夜になっているが、乗客もまばらなホームで一人列車を待っているこういう時間が私は好きだ。激しく旅情を感じるのである。もっとも、こんなところで何をやっているのだろうと、自責の念に駆られないわけでもないが。
 内部行きに乗車。四日市から乗ってきた乗客であろう、帰宅途中の乗客の姿だ。内部駅は小さな駅舎とホームがあるだけの終着駅。折り返し列車が夜のしじまに発車を待っている。
 ところで、ナローゲージ鉄道は今や数少なくて、一般旅客用の鉄道としては、全国で同じ三重県下の三岐鉄道北勢線があるだけ。しかし、乗ってみると、朝夕の混雑時間帯はわからないが、さほどの狭さを感じないし、新都市交通などよりは快適だし、乗客定員も多いのではないか。すくなくとも、あすなろう鉄道は沿線住民の足として定着しているように思われた。

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(写真5 ナローゲージ車両の車内)