ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

馬場道『photo esseay 続「撮り歩き」』

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豊かな着眼と鋭い視点

 昨年2月に上梓した『撮り歩き』の続編。第一集では100本200ページのphoto essayが収録されていたが、その後も精力的にカメラを片手に歩きまわっていたようでわずか1年2ヶ月で第二集をまとめた。
 撮り歩きとは、散策にもカメラを離さず面白いもの、ふと気になることを見つけては写真に撮りエッセイにするというもの。当然外出も多くなるが、傘寿になって格好の老化防止にも役立っているようだ。
 第一集では身の回りに題材を求めて市井を観察しているようだったが、第二集では市井の撮り歩きに加えて、「辻標を訪ねて」や「踏切を渡る」などとテーマを定めてシリーズ化している新趣向もあって総ページ数は何と358ページに上っている。
 「辻標を訪ねて」。著者は仙台市在住。仙台はもとより伊達藩62万石の城下町。仙台では由緒ある町名や通名を現代に伝えようと市制施行88周年を記念して辻標となる石柱を88カ所に設置したようで、これはその訪ね歩き。載っている写真から判断すると、石柱は高さ150センチ、四角形で1辺の幅20センチほどか、
 表小路、長刀丁、外記丁などといかにも城下町らしい町名や通名が出てくる。仙台市民なら懐かしい名が多いのではないか。石柱一本には二つの名前が彫られていて、刻まれた町名・通名は174にもなっている。地図を頼りにしながら簡単には見つからず随分と苦労も多かったようだ。
 私も仙台には時折出向いていて、それなりに町名にも馴染みのところがあるのだが、ネオンきらびやかな国分町(こくぶんちょう)が実は歴史的にはこくぶんまちだったとは知らなかった。
 「踏切を渡る」。仙石線のうち仙台市内にある踏切を網羅した記録。踏切を渡って歩くとはなかなか面白い趣向。仙石線はあおば通駅から石巻駅に至る路線だが、ここでは仙台市内に限るとして中野栄駅からあおば通駅に向かっている。
 ただ、これも線路を歩けるならともかく、線路をつたいながら歩くことになるわけで、時には歩行者専用の小さな踏切もあってなかなか苦労が多かった様子だ。
 しかし、この踏切歩きはおもしろかったのか、仙石線の次には仙山線へと足を向けている。
 著者は新聞記者。写真がいいし記事もコンパクトで読みやすい。そして何よりも着眼が豊かで視点の鋭いことに感心した。発行日が4月30日。つまり平成最後の日。あるいは著者自身にも平成を締めくくろうとの企画意図があったのかもしれない。
  なお、本書は私家版で、著者は私の実兄である。