ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

城北線

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(写真1 城北線勝川駅。まるで工事が中断しているような様子。左は中央線の高架)

中央本線勝川-東海道本線枇杷島間を結ぶ

 中央本線勝川駅と東海道本線枇杷島駅間を結ぶ路線。中央本線から東海道本線名古屋以西に向かう短絡線である。中央本線から金山あるいは名古屋で乗り換えて枇杷島に向かうと、乗り換え時間を含めないで18分ほど、乗り換え時間を含めると20数分はかかるだろうが、城北線なら16分である。このルートが機能すれば時間短縮ばかりか金山や名古屋での混雑も軽減できるだろうから効果は大きいはず。
 しかし、現実には現地を訪れてみるとびっくりすることばかり。
 中央本線勝川駅から城北線勝川駅は歩いて7分ほど離れている。それも、城北線の施設が見えてくると唖然とする。高架の線路が中央本線に近づいたところで途中でぶち切れているのである。ちょっと異様な状態だ。工事が中断されたまま放置されているように思える。

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(写真2 勝川駅のホーム。1両のディーゼル)

 高架線路に登るように階段を登っていくと片側1線のみすぼらしいホーム。いかにも仮駅の様子だ。しかも架線はなくディーゼル車なのである。大都市圏で未電化とは珍しくはないか。調べてわかったが、どうやらこの路線だけのようである。しかし、ちゃんと複線になってはいる。
 7時06分発。1両の枇杷島行き。ワンマン運転。途中で多少の乗降はあったが、朝の通勤時間帯なのに満席になることはなかった。枇杷島は名古屋から一つ西寄りの駅。言ってみれば名古屋のど真ん中。実際、沿線はマンションがびっしりと建ち並んでいる。
 城北線の運行は東海交通事業という会社。一風変わった名称だが、JR東海の子会社。それにしては城北線に対するこの冷遇ぶりはなぜなのであろうか。朝夕はともかく、日中は1時間に1本程度の運転間隔。とても乗客を呼び込もうとしたダイヤとはなっていない。
 そもそも城北線は、岡多線から瀬戸線へとつながる計画だったところ。愛環(愛知環状鉄道)から高蔵寺を経て勝川へと至る環状線の一角を構成するはずのものだったらしい。
 前後の事情はわからないが、それが計画が縮小されてしまったもののようだ。貨物線としても構想されたようだが、貨物線を旅客線に転用するのはJRの得意技だが、JR東海はどうして積極的に踏み込まなかったのだろうか。中途半端な状態で放り投げているように思われて仕方がない。
 そうこうして枇杷島7時22分の到着。ホームは名古屋方面に向かった位置にあった。そうすると、そのまま名古屋まで一駅運転を伸ばすことも可能だし、いっそ、名古屋であおなみ線につなげることもできそうだ。
 城北線は全線11.2キロ。駅数6。私はこの線に乗るのは10数年ぶりだが、少しも事情は変わっていないように思われたし、旅行者にはちょっと位置づけのわかりにくい路線ではあった。

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(写真3 東海道線に乗り入れたように枇杷島に到着した城北線列車)